ある日突然、「優秀な方だと評判をうかがいました。ぜひお目にかかりたい」といったメールを受け取るためには、われわれはどういう働き方をすればよいのか、そんなヘッドハンターの1人に話を聞く機会を得た。人事コンサルティング企業「トライアンフ」エグゼクティブパートナーでもある志村綾子氏だ。
知られざるそのシステムと、どのような人物にどのようにして白羽の矢を立てるのか、ヘッドハンティングという仕事の一部始終を聞いた。
ヘッドハンティングは「サーチ型」。戦略的採用に向く
人材紹介会社のサービス形態には2通りある。「登録型」と「サーチ型」だ(図1)。志村氏が解説する。
「前者はご存じの通り、転職希望者が自分自身で登録するもので、求人企業の依頼条件とマッチングした場合に、その登録者を紹介するサービスです。
後者はいわゆる『ヘッドハンティング』型で、クライアント企業の求人依頼を受け、人材紹介会社が候補者をサーチして候補者リストをクライアント企業に提出。接触依頼があった候補者に対して接触するといったプロセスを取ります」
二者のサービスは大きく異なり、日本では後者は欧米ほどまだ盛んではない。志村氏は、「サーチビジネスが日本でどう根付いていくかを探りながら、またどのように根付かせるかを模索しながら活動している」という。
「人材を探す際、企業には目的に合わせてうまく利用していただきたい。新規ビジネス立ち上げの際のリーダーなどをピンポイントで探すといった『戦略的採用』の場合はサーチ型の手法を活用し、そうでない場合は登録型の人材紹介会社でというように使い分けていただきたい、と考えています」
図1:人材斡旋サービス、「登録型」と「サーチ型」(志村氏作成の資料より)
「転職潜在層」と、経営者や役員たちをマッチングする
ちなみに志村氏が見ている先は、自ら転職を希望する「転職顕在層」ではなく、転職希望はないが、内容によっては検討しないでもない「転職潜在層」である(図2)。
志村氏が所属するトライアンフをはじめ「サーチ型」の人材斡旋会社が直接求人について話を詰めるのは、クライアント企業の経営者、もしくは新規事業をローンチする役員たちだという。人事担当者が「登録型」の人材斡旋会社に依頼することの多い「フロー採用」ではなく、会社レベルで戦略的に人が欲しい際の「スポット採用」の場合に、志村氏など「ヘッドハンター」が動くケースが多いのだ。
このように基本的に、「ヘッドハンター」と呼ばれる人々には、われわれからはコンタクトできない。ではわれわれがヘッドハンターに「見つけてもらう」にはどうすればよいのか。