外的エンプロイアビリティのある人材は「サーチにひっかかりやすい」
「まず、社外にも展開し得る自分のキャリアをどう蓄積していくかということが大切になると思います」と志村氏は話し、1980年代からアメリカでは盛んだった「エンプロイアビリティ」という考え方で説明した。
「エンプロイアビリティのうち、『内的』アビリティは、日本のビジネス社会でも馴染みの深い能力です。これは自社独自のプロダクトに関する高い能力や、社内プロセスに対するノウハウにいかに精通しているかを指します」。いわゆる、社内で「彼は仕事ができるよね」と評判が立っている人のイメージだろう。
図2:「転職顕在層」と「転職潜在層」(志村氏作成の資料より)
「一方、『外的エンプロイアビリティ』は、弁護士や公認会計士が持つ『公的』『汎用的』スキルを指します」
そして実は、営業職でもこの「外的エンプロイアビリティ」は養うことはできるという。「営業スキル」と言ってもいいかもしれないが、実際に売るのはその時々に在籍している企業の製品やサービスでも、そのスキルは、企業が変わっても応用できるからだ。
「他には、マネジメントスキルも汎用的です。とくに今は、人材のマネジメント、ピープルマネジメントとプロジェクトのマネジメント、両方のスキルが必要で、どちらも管理できれば企業の枠にとらわれず活躍できるでしょう」
「評判」を武器に「リファレンス採用」も
このようにエンプロイアビリティには内的、外的の2つがあるが、志村氏らハンターや社内のサーチャーは、どちらかというと「外的」アビリティを持った人材にフォーカスする。
たとえば大手商社でさまざまな部署を歴任とし、その企業内のジェネラリストとなることで出世した人材がいるとする。実は、その人材が社外でも活躍できるかというと、かならずしもそうでもない。彼らには外的エンプロイアビリティ、つまり突出した汎用的なスキルが不足している場合が多く、環境が変わると実力を発揮できないことがあるからだ。
「つまり、社内で出世することばかりでなく、環境依存でないエンプロイアビリティ、応用の利くアビリティを高めることを意識しながらスキルを上げていくことこそが、ヘッドハンターから注目されるうえで大事なんです」
さらに最近では、ヘッドハンターがクライアント企業に候補者リストを提出する以外に、「リファレンス採用」という道筋もあるという。