なぜ、クリエイターたちは軽井沢・御代田を目指すのか?

セルフビルドしたウッドデッキで家族と焚き火を楽しむ


鈴木:移住者による新たな動きは生まれてきているのでしょうか?

大月:御代田で暮らす友人には、デザインやマーケティングなどのクリエイティブな仕事に携わる人たちが多いのですが、それぞれが専門性を活かしながら、地域との関わりを模索しています。

例えば、御代田在住のクラフト作家・上原かなえさんは、御代田に住むデザイナーや農家、そして福祉施設と連携し、「ライ麦ストロー」というプロジェクトを立ち上げています。休耕地を利用して、かつてこの町で盛んだったライ麦を栽培し、飲用ストローの加工〜普及を目指すという活動で、我が家でも家族でライ麦を収穫したり軒先で乾燥させたり…といった一連のプロセスを共有させてもらったのですが、人と自然、地域との循環が直接的に感じられるすばらしい取り組みだと思います。


ライ麦を乾燥させるため、軒先に干している

鈴木:移住者と町の方々が一緒になったサステナブルな取り組みで、とても素敵ですね。大月さん自身も何か取り組まれていることはありますか?

大月:友人らと共に「もし町役場にデザイン部署があったなら」という視点で町やサービスを見つめ、それぞれの職能を活かして町の活性化に繋げていこうとする「ミヨタデザイン部」という活動を少しずつ始めています。

実はこの取り組みも、御代田町とデザインとの密接な関係を土壌としています。1960年代から建築家やデザイナーがこの地でコミュニティを形成し、自然を感じながらデザインの種を育んできました。昨今、改めてコミュニティや住環境の価値が見直される中、多くのクリエイティブな人材がこの地へと移り住んできています。こうした流れを踏まえ、御代田近辺に在住もしくはゆかりのあるメンバー間での連携を図って、今後は町に対しても様々な提案や働きかけなどを行っていきたいと考えています。

鈴木:町づくりにデザインの視点を組み込むことは、これからの時代ますます重要になると思います。ちなみに軽井沢風越学園の開校も影響はありますか?

大月:子育て世代の流入においては特に大きなインパクトとなっています。私の子どもも通っているのですが、エントリーの時期にはたくさんの友人・知人から学校や移住について相談を受けました。今も来春の新学期に向けて、多くの家族が新たに移住の準備を進めています。

通学圏内のエリアは、コロナ移住も相まってここ最近は土地や家の値段も随分とあがっていて、物件探しに苦労しているという話もよく耳に入ってきます。そのため、移住者の中には、民宿を複数家族でシェアして住居兼コミュニティスペースをつくろうとする動きなども生まれています。この他にも保護者による自発的な取り組みが学校の内外でいくつも動いているようです。
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