なぜ、クリエイターたちは軽井沢・御代田を目指すのか?

セルフビルドしたウッドデッキで家族と焚き火を楽しむ

リゾートテレワーク・ワーケーションという言葉が急に脚光を浴びてきた。マスコミに出ない日はないくらいだ。急に脚光を浴びてきたので目的、定義、導入のポイント、参加者・企業・自治体のメリットなどの認識もまちまちだ。参加者、企業および自治体にとってメリットのあるワーケーションはどのようなものがあるのだろうか。

企業といっても家族経営の企業、オーナー企業、ベンチャー企業、外資系企業、大企業、上場企業など幅広い。またワーカーの属性も、企業のビジネスパーソンだけではなく、職人、料理人、シェフ、アーティスト、クリエイター、公務員、個人事業主、フリーランスなど多種多様なワーカーが存在する。

一方自治体も強力な観光コンテンツのある自治体もあれば無い自治体もある。ワーケーションを成功に結び付けるためには、何が重要なのだろうか。それはターゲットを明確にしたきめ細かいマーケティングアプローチだ。

本稿では、今後のワーケーションの可能性を、昔の移住者とはライフスタイルの考え方が全く異なる最近の移住者にインタビューし、将来のリゾートテレワーク・ワーケーションを予測していく。第1回目は、1年半前に軽井沢町の隣町の御代田に移住された広告会社にお勤めの大月均さんに、移住して劇的に変化したライフスタイルについて聞いた。



鈴木幹一
(以下、鈴木):大月さんは、移住されて一年半ですよね。そもそもなぜ御代田に移住されたのですか?

大月 均(以下、大月):元々東京に生まれ育ち、移住する前は渋谷区の富ヶ谷に住んでいました。都心からも近く、代々木公園も歩いて10分ほど。閑静な住宅街でありながら、個性的なお店がひしめいている街で、とても気に入って7年くらい住んでいました。しかし、長男が生まれ、五感が研ぎ澄まされている子どもの幼少期を「より自然が近いのびやかな場所」で過ごしたいという思いが日に日に強くなっていき、移住を検討するようになりました。

仕事の関係で都内にも通えるエリアとして、神奈川県の逗子や鎌倉、千葉県のいすみ市などをしばらく家族で見て回っていましたが、長野県に2019年と2020年に新しい学校が2つ出来るということを知り、当時は距離的にあまり現実的ではないかなと思いつつ、長野にも足を延ばしてみました。

それがきっかけで何度か長野に訪れている内に、子どものためというだけでなく、自分たち自身もこういった環境での生活を欲していることに気づき、移住を決心しました。

とはいえ、東京での仕事があるので、自分以外の家族は軽井沢の隣町・御代田に転居し、私自身は東京に部屋を借り直して二拠点生活を始めました。

2019年にそのような形での生活をスタートしたのですが、2020年に次男が生まれ、その後Covid-19の影響で完全にリモートワークになったこともあって、私も東京の部屋を引き払って完全に移住しました。


大月 均さん

鈴木:東京から1時間圏内の自然豊かな場所、ということであれば他にも移住の候補地はあったと思いますが、その中で軽井沢・御代田エリアを選んだ理由はなんですか?

大月:豊かな自然環境、というのがやはり真っ先に挙げられます。これまではずっと都市で暮らしてきましたが、自然や季節の移ろいを感じられる生活がしたい…という思いを常に抱いていました。長野の冬はとても長く厳しく、夏は本当にあっという間に過ぎ去っていきますが、その分、春や新緑のまばゆさには心を奪われ、ありがたく感じますし、凛とした空気は山並みや星空を引き立ててくれます。
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