「サイボウズオブザイヤー自体がオスカー像くらいすごかったら、もらうだけで嬉しいかもしれないですけど。大事なのって『なぜありがとうがいっぱい集まったか』というところだと思います。賞状で一番嫌なのは『以下同文』(笑)。5人選ぶなら、5人選んだ理由があるじゃないですか。その理由の方がたぶん大事だなと」
表彰状の文面も、形式張ったものではなく、人のぬくもりを感じさせるユニークなものだ。
「その理由をちょっと面白おかしくするんです。今年の出来事に合わせて、その子が好きだった歌の歌詞をはめ込んだり。で、賞状の後ろにはその子に来たコメントを全部プリントアウトしたのを貼って、大勢の前で青野(社長)からもらえる。後ろ面の方が喜ばれます」
多くの参加を惹きつけるコンテンツを楽しんで作ろう
最後に、サイボウズオブザイヤーに向けての意気込みと、世の忘年会幹事へのメッセージを福西さんに聞いた。
「忘年会とか、社員旅行とか、『飲みニケーション』の記事を見て、盛り上がらない(イベントの)代名詞とか出るじゃないですか。たぶん、ぶっちゃけ面白くないのは、内容が面白くないから面白くないだけで、もうちょっと工夫したら何とでもなるだろうし」
SNSのハッシュタグとして「忘年会スルー」という言葉が注目を集めたのは昨年末のこと。「『忘年会が楽しみ』という人ばかりではない」という意識は、若い世代を中心にここ数年で急速に表面化している。
「感動の華を咲かせる」ことが使命である福西さんは、そもそもの社内イベント企画の姿勢に疑問を投げかける。
「もし若手社員に参加してもらいたいなら、若手社員が楽しめるようにした方がいい。そもそも、おっさん連中が楽しみたいようにイベント企画するのに、若者に『楽しめ』と言っているから楽しめないという話。逆もあり得るわけですが、前半は若者、後半はおっさん、とかにすれば面白い飲みにはなるのかなと」
福西さんが指摘する、社内イベントが嫌がられる1番の理由は「強制参加」だ。感動課で企画運営する全社イベントは参加自由となっていて、約1000人の従業員のうち、たいてい5分の1は来ているという。できるだけ多くの従業員に参加してもらいたいと心を配りはするが、そもそも来る人数の目標も設けず、厳密にカウントもしていない。
そして、サイボウズの社内イベントは「参加必須」でないからこそ、出る意欲がある人にフォーカスして企画を練り上げることもできる。
「オンラインにしようが、リアル開催にしようが、たぶん出ない人は出ないんです。コンテンツ自体に魅力がないと、何をしても出ないと思うんです」
人によっては、ほとんどテレワークづくめの1年だったかもしれない。そうした、コミュニケーション手段が限られた状況でも、仲間と楽しみたいという心に工夫が加われば、今年らしい締めくくりを飾れるに違いない。
「1年間、画面って見飽きたじゃないですか。会議もZoomだし。画面の外でちょっと楽しめるように家にグッズを送ったりしてるんです。オンラインだからと気張ることもなく、今年1年の締めのイベントができれば」
お花見の時のグッズ(サイボウズ提供)
新型コロナウイルス感染症でリアル忘年会ができない状況を今年だけのものにするためにも、会合のオンライン化の可能性を広げていきたいものだ。