テレワークや、ウェブ会議の知見がだんだんと蓄積されてきたとはいえ、多人数が参加する行事をオンラインで実施するのは初めてという企業がほとんどではないだろうか。
そこで、テレワーク先進企業であるサイボウズ人事本部の感動課長の福西隆宏さんに、今年の年末の全社イベントへの対応、そして、多くの人が楽しめる社内イベントの作り方を聞いた。
ちなみに、感動課は「社内にある感動の種を探し、感動の華を咲かせる」のを唯一の業務として、社内イベントや記念品の企画などに関わっていく部署。年末に行われる全社規模のイベント「サイボウズオブザイヤー」にも、感動という切り口から毎年関わり続けている。
テレワーク移行で全社イベント増やしたサイボウズ
もともと従業員のテレワークを積極的に推進してきたサイボウズ。東京オフィスの出社率は今年1月に70.3%だったのが、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた3月には8.3%、緊急事態宣言が発出された4月には1.8%となり、10月になっても15.5%と8割以上の従業員がテレワークを選んでいる。
従来、サイボウズでは4月のお花見、8月の創業記念、そして12月末のサイボウズオブザイヤーなどを毎年恒例の全社イベントとして開催していた。今年は例年よりも全社イベントの数を増やし、4月のお花見以降、ほぼ隔月ペースで全てをオンラインで開催。
回数を増やしたのには何よりも、同じオフィスに居合わせることでできていた対面コミュニケーションが不足してしまったことが大きかった。
「サイボウズも在宅で今までテレワークをしていましたけど、これだけ会社に行っても人に会わないというのはそれこそ初めてだったので。(通常勤務のときは)不調があったらみんな言えるじゃないですか。元気にしているのすら見れないという状態になった」
例えば、一部の本部のみで行っていた6月のサポート感謝祭を今年はオンライン化で遠隔の拠点からも参加できるようにして、全社イベントとして開催するようにした。
また、地理的な位置はばらばらで仕事を進めていくテレワークの状況でのコミュニケーションのあり方を考えた結果、従業員の家を社内イベントのサテライト会場にするという変化も起きた。
「今までは席が隣だったらちょっと話せたじゃないですか。で、『帰りにちょっと飲みに行かない?』って誘って飲みに行ってたのが、今は声をかけられない。家にいるから周りに人がいないので、どちらかといったら席が近いより家が近い方が大事、なにか助けてくれるのって、もしかしたら席が近い人より家が近い人なのかな、と」
そこで、8月の創業記念の際は、5人未満なら自宅から近い従業員の家に集まっての参加も認めた。
「サイボウズがまた1年続いたというお祝いなので『ケーキ送るからさ』と言って。そうなると、その中の場で盛り上がるんです。目の前の、準備したコンテンツを作った方としては見てほしいんですけれど、その家に集まって楽しくしてくれたらいいや、と」
ケーキで画面の外でも盛り上がる(Diego Cervo / Shutterstock.com)