レストランの営業再開と新型ウイルスの感染拡大との明らかな相関関係を総括的に示した最初の研究結果は6月、ジョンズ・ホプキンス大学により発表された。同大は米国内3000万人のクレジットカード利用データを分析し、各州での流行状況との関係を調査。結果、レストランの利用が増えるほど感染も増加していたことが明白に示された。
スタンフォード大学も同様の研究を行い、今月10日に科学誌ネイチャーで結果を発表した。同大が取った手法はジョンズ・ホプキンス大学とは大きく異なるが、結果は同じだった。スタンフォード大の研究チームは、9800万人以上を対象に3~5月のスマートフォン利用データを追跡し、レストラン、ジム、ホテルを訪れた回数に基づいて予測モデルを作成。結果、シカゴなどの都市でレストランの営業が一切制限されなければ、レストランが60万件以上の感染原因となることが示された。さらに、そうした感染事例の85%が10%のレストランで発生すると予想され、集団感染が起きる場所の分布は不規則かつ予測不可能であることが示された。
飲食業が直面している問題は、衛生管理などの対策にまつわるものではなく、私たちには対処のしようがない「スーパースプレッダー」の存在だ。同じレストラン内にスーパースプレッダーが1人存在すれば、感染の可能性は非常に高まる。それは、QRコードのメニューを導入し、消毒ジェルを常備し、スタッフにマスクの常時着用を義務付けるなどの感染対策を万全にしても同じだ。つまり、店側は感染を防ぐことができないのだ。