キャリア・教育

2020.11.13 07:00

リモート時代の教育は「ぬまっち」に聞け。生徒が全集中する授業のつくり方


ただ、みんなのやる気がアップする魔法の言葉なんてないし、勉強やノルマにゲーム性をもたせたところで、ハマる人もいればハマらない人も当然います。

そこはまさしくビジネスと同じで、相手を知って、トレンドを知って、商品を開発して、それをどうPRしていくか。そのPDCAをまわしていくことに尽きると思います。

──これから子供たちには、どういう風に育ってほしいと思いますか。これからの時代を生きていくうえで、どのような要素が必要になるのか教えてください。

AIと共に働ける人。知識があるに越したことはないけど、分からないことがあればグーグルが助けてくれますよ。苦手なことがあったら、それが得意な人を味方にすれば良いんです。

かつては『ドラゴンボール』や『キャプテン翼』が人気でした。なんだかんだ言って、結局ゴールを決めるのは翼くんだし、困ったら悟空が出てくる。でも、今は『ONE PIECE』の時代。お互いに補完し合いながら、みんなが主役になれるんです。

大事なのは、自分で考える力、知識を活用する力です。なかには、塾のテストは満点なのに、僕が出す問題は全く解けない子もいます。公式は覚えているけど、公式からはずれたら途端に考えられなくなるんです。

なんでこうなるんだろうと疑問に思うことや、この知識をこっちの分野で応用できるかもと閃くこと、自分の意見をしっかり述べることができる人になってほしいですね。

だからやっぱり、小学校教諭を完全教科制にしちゃうとつまらなくなると思うんです。担任が国語も算数も道徳も教えるからこそ、科目を横断した授業が可能になる。便宜上、国語、算数、理科、社会……と分けているけど、本当の勉強はそうじゃないと思っています。

──最後に、ぬまっち先生の将来の野望や夢を教えてください。

正直、やりたいことは今やっているので、将来何かしたいというのはありません。でも、『ガイアの夜明け』『プロフェッショナル』『カンブリア宮殿』『情熱大陸』を教え子で埋める「沼田月間」をつくりたい。恩師として番組に呼ばれたら、「小学生の時は、こんな奴だったんですよ」って言うんです。

それから、365日毎日教え子にご馳走してもらうというのも良いですね。これを子供たちの前で言ったら、「俺、年に3回くらい奢るよ」と言われました。実は、先日高校生になった教え子が「初めてアルバイトの給料が入ったから」と言って、すき家をご馳走してくれたんです。卵トッピングもつけてもらって。その後僕がご馳走したスターバックスの方が高かったんですけどね(笑)。嬉しかったです。

でも、今僕がこうしていろんなメディアに取り上げてもらえるのも、全部子供たちが頑張ってくれているから。世の中を変えたいとか、教育界を変革したいとか、そういう大それたことは思わないけど、目の前の子供たちを楽しませたい。いつも、そう思っています。


沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)◎東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。1975年生まれ。東京学芸大学卒業後、米インディアナ州立ボールステイト大学大学院でスポーツ管理学を修了。同大学職員を経て、2006年から現職。児童のやる気を引き出すユニークな授業やアイデアが話題となり、近年では、日本テレビ『news zero』やフジテレビ『ノンストップ!』など出演多数。教育関係のイベントはもちろん、企業向けの講演やぬまっちメソッドを共有するオンラインサロンでの活動も精力的に行っている。著書に、『One and Only〜自分史上最高になる』(東洋館出版)『自分で伸びる小学生の育て方』(KADOKAWA)など多数。Twitter:ぬまっち(沼田 晶弘)@小学校教諭/@88834 オンラインサロンはこちら

文=伊藤みさき

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