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国際ジャーナリストのアメリカ深層メモ "Eye-opener"

郵便選挙は不正選挙の温床であると主張してきたトランプ氏(Getty Images)

ついに米大統領選である11月3日が過ぎた。今回の大統領選は、新型コロナウイルスの蔓延によって、郵便投票が全投票の7割にも達し、前代未聞の選挙となった。

トランプ大統領は執拗に、郵便選挙は不正選挙の温床であると主張してきた。「私が負けるときは選挙に不正があったときだけだ」とも語り、郵便選挙のみならず、選挙においてひとつでも投票などに絡む「異変」があれば大騒ぎしただろう。

今回、選挙を実施するすべての州で、選挙管理当局はそんな「異変」を出すまいと必死だった。今回筆者はアメリカでカリフォルニア州やワシントンDCとその周辺州(バージニア州とメリーランド州)で選挙関係者にも取材を行なったが、ロサンゼルスの郵便関係者は、「毎年、クリスマスカードなどを大量に扱っていて郵便局もきちんと選挙に対応できるとみているが、さすがにプレッシャーは感じている」と語っていた。

そんな米大統領選だが、もう一つ選挙前から「異変」を起こすかもしれないと懸念されていた問題があった。

国外の政府系ハッカーらによる選挙システムへのサイバー攻撃である。

というのも、2016年の大統領選から、次々とサイバー攻撃がアメリカの選挙システムを襲っていたことが判明したからだ。米上院情報委員会は2019年に、全米50のすべての州がロシアからのサイバー工作を受けていると発表。ロシアの政府系ハッカーらが「前例のない規模」で2020年の選挙に向けて選挙システムに狙いを定めていた可能性も指摘された。

例えば、イリノイ州では、ロシアの政府系ハッカーが、トルコのコンピューターを踏み台にしながら選挙システムに侵入していたことが判明している。またアリゾナも同じような攻撃を受けている。加えて、有権者情報を得ているイランの政府系ハッカーらが、有権者のデータを入手して偽メールを送りつけていたことも判明している。

さらに恐ろしい話もある。CIA(米中央情報局)とNSA(国家安全保障局)は、フロリダ州で2019年までにセントルーシー郡とワシントン郡の選挙関連のコンピューターにロシア政府系ハッカーらがマルウェア(悪意ある不正なプログラム)を埋め込んでいた証拠を掴んでいる。しかも攻撃者はいつでもそのプログラムを動かせる状態においており、まだ作動させた形跡はなかったという。つまり、「2020年を狙っていた可能性も考えられる」と情報関係者は語っている。

文=山田敏弘

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