忖度している場合じゃない。SIRUPが提示する社会との向き合い方

アーティストのSIRUP(シラップ)


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そんなモヤモヤと葛藤、そして怒りを、SIRUPは曲に落とし込んだ。コロナ禍の3月にリリースされたアルバム『CIY』内に収録されている『Why Can’t』では、「Don’t follow me. どうでもいい話するならこっちへ来るな Don’t smile me. 掌返しするぐらいならはじめに噛みな」と、攻撃的とも受け取れる歌詞から始まっている。ただし、やみくもに怒りを表明しているだけではない。続く歌詞には、こうある。

「もういいよ、俺らが交通整理してやるから(中略)もう一度初心からやり直そう、もっと生きやすくするために愛を」

そう、アーティスト・SIRUPとしての根底に流れているのは「愛」だ。
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「僕が情報発信をしている理由は、みんながもっと自分自身に向き合うきっかけをつくりたいからです。アーティストとして活動を始めて以来、僕の一番のエネルギーはみんなが精神的にハッピーになること。

“Don’t follow me”といって突き放すだけなら、社会は何も変わりません。僕はみんなを認めたい。もし分からなくて声をあげることができなければ、みんなで交通整理をして道をつくって、一緒に考えていこうよというメッセージです。アルバム名『CIY』は“Choice Is Yours”の略。自分たちの選択次第で、未来を変えていこうという思いを込めています」

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点字で「LOVE」と書かれたタトゥー

身についた「学ぶ姿勢」


コロナ禍での経験が、アーティストとしての活動に大きな影響を与えたというSIRUP。カオスな社会を見つめ、意思表明をする過程で「学ぶこと」の大切さを痛感した。

「発言には責任が伴います。だからこそ自分なりに勉強をしたり、詳しい人と話す機会を意図的に設けるようになりました」

SIRUPとして活動を始めた3年前のこと。これまでのソロ活動とは異なり、チーム内で議論をしながら前へと進めていく。自分の意見を突き通すのではなく、他の意見を取り入れながら進めた結果、自分だけではつくれないより良いものが生まれた経験を重ねてきた。

「全部を自分で決めないこと。その大切さを学びましたね。どんなに正論を並べても、人が複数関われば物事の見方は多面的。自分の意見が100%正しいなんてことはないんです。正か否かの二元論はすごく危険。白も黒も正解じゃない、本当の正解は真ん中にあるから」
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インタビュー・文=石原龍太郎 写真=河野 涼

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