反ワクチン運動と「噂」の研究(『STUCK』をもとに作成)
1800年代
ワクチン接種の義務付けと反対運動の開始1916年
ロンドンの心理学者、バーナード・ハートが第一次世界大戦下の噂の広がりを調査。「噂とは社会現象であり、コミュニティ、特に群衆の行動心理の原則を考慮に入れなければならない」。1935年
心理学者のジャムナ・プラサドが噂の広がる「特徴的な状況」を定義。感情をかき乱し、人々に馴染みがなく、個人に様々な側面から影響を与え、集団の関心事である状況だとされる。1966–1980年
国連による天然痘撲滅キャンペーン。天然痘の発生が減り、発見も困難に。噂が重要な情報源になった。WHOは全ての噂の情報を収集し、調査。1980年の撲滅後も噂の監視を推奨。1997年
WHOは噂の監視ネットワークを設立。リアルタイムの新規感染症の発生の発見を目指す。インターネットやデジタルメディアの発達とともに、噂に関する報告の数は数万まで増加。1998年
反ワクチンの元医師、アンドリュー・ウェイクフィールドがMMRワクチンと自閉症を関連づける論文を発表。内容は多くの科学者に否定されているが、反ワクチン運動にいまも大きな影響。2001–2004年
この期間に数千もの噂に関する報告がWHOに集まり、その中から1300の報告について、調査が必要だと判断された。調査の結果、そのうちの850の噂は事実だったことが明らかになった。2004年
WHOはアジア地域で鳥インフルエンザに関する地元ニュースや非公式な情報を得るためのシステムを設立。鳥インフルエンザが疑われる40の情報のうち、9つが本物だった。2018年
子どもを持つ親の反ワクチン団体「PEACH」が「ワクチン・セーフティ・ハンドブック」を発行。漫画のイラスト入りでわかりやすく、オンラインでも大きな広がりを見せた。反ワクチン思想の背景
1. 政治的な対立
2. 科学者との対話不足
3. ワクチンの科学的リスク
4. 自己決定権の考え
5. デジタルメディアの台頭
6. ポピュリストの台頭 など