ワクチンはパンデミックを阻止するために必要不可欠ですが、まずはその安全性と有効性をしっかりと検証する必要があります。
世界保健機関(WHO)は、有効性が30%未満のワクチンは承認すべきではないと考えており、少なくとも50%の有効性を示すことが推奨されております。しかし、有効性が50%であっても、統計的な信頼性を考慮した場合、実質的な有効性は50%より低い可能性があります。Covid-19の感染制御においては、このようなワクチンは有益ではなく、以下の3つの理由で、むしろ有害と言えるかもしれません。
第一に、最初に承認されたワクチンの有効性が低い場合、低さの程度に関わらず、それは後に開発されるワクチンを評価する際の基準とみなされるでしょう。新たなワクチンの有効性が既存ワクチンの有効性を大きく上回る必要は特段ないため、引き続きそれほど有効性の高くないワクチンの承認につながる可能性があります。
第二に、ワクチンを接種した人々は、自分自身がもはや感染リスクにさらされていないと思い込み、マスクの着用や、社会的距離の確保をやめてしまうかもしれません。すると、ウイルスはさらに蔓延する可能性があるでしょう。
最後に、ワクチンに深刻な副作用がある場合、当該ワクチンのみならず、他のワクチンに対する人々の信頼を損なう可能性があります。ワクチン全般に対する人々の不信感を招き、結果として他の感染症の蔓延を引き起こすかもしれません。
9月末現在、170種類を超えるCovid-19のワクチンが開発されており、たとえ最初の50種類の開発が失敗したとしても、安全性と有効性について妥協する必要はありません。
では、このワクチン開発に何が期待できるでしょうか?
現在、Covid-19のワクチン、治療法、診断法の新たなパイプラインを、世界史上類を見ない記録的な速さで生み出していることを忘れてはいけません。私自身は、より良い診断法や治療法をはじめとする新たなツールが生まれると確信しています。より効果的に感染拡大を防ぎ、また感染者を治療することで、致死率及び罹患率の低下につなげることができるでしょう。