いずれにせよ、「お客様は何をメリットと考えるか?」と、「自分は何が得意か?」を掛け合わせて、自分のセールスポイントを伸ばしていくことがキモになります。
「お客様が何をメリットと考えるか?」については、世間で話題になっていることや社会問題など、あらかじめ社会のことを知っておく必要があります。でも最初の勉強は、ニュースサイトにざっくりまとめてある3行の記事を読んでおくだけで十分。そのうえで、お客様の問いかけに対して、何か一つでも専門用語を出せればいいのです。基本的に男性は教えることが好きなので、「教えてください」は効果的。
「なんかちょっと自分の専門分野のことを知ってるっぽい」と思われる雰囲気を出せれば十分。雰囲気だけでいいんです。
お客様は「つくる」もの
──接客以前に大切な「集客」はどう考えていますか?
キャバクラ嬢にとって絶対に避けて通れないコミュニケーションツールといえばLINE。私は、ID交換しようって言われたら、快く受けます。そして、基本的には、お客様から来たLINEメッセージにはすべて返信するようにしています。お店でのお支払い額の違いで返信の有無を区別することはありません。
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でも、いかにも営業LINEみたいな、「来週来てね」みたいな誘い方はまずしません。商品だって、「買ってください」と言われると購買意欲が下がりませんか? そんなふうに売り込みしないと売れないような商品に見えてしまうからです。「買って」と言われて「はいそうですか、買います」なんて人はいないんですよ。興味を持ってもらえる文面を送りましょう。
よく美容雑誌で「キレイはつくれる」というフレーズが使われますけど、それと同じで「お客様はつくれる」んです。元々キレイじゃない人をキレイに仕立て上げるのと同じで、お客様じゃない方だってお客様に仕立て上げることができる。
ビジネスでも、「顧客を創造する」っていうじゃないですか。どういう層にどういう需要があるかを見極めて商売をすれば、そこに新規のお客様が生まれるんです。
お客様は無限の可能性を秘めています。今、キャバクラ遊びをしない方たちは全員潜在顧客だと思って、その方たちが楽しめる新しいキャバクラ文化を創出できれば、未来は明るい!
──野の花さんをそこまで突き動かすものは何ですか?
子どもの頃、いじめられたこともあって、そんな自分を変えたい、日の当たる場所に立ちたいって思っていました。いじめられていた自分ではない自分になるという夢。
人って、いつお金を持つようになるかわからないものですけど、結局、お金を持つようになる人に共通しているのは夢なんです。夢があるからお金を手にできる。
自分の原点に立ち返ることも非常に重要ですが、ポジティブに前を向くために必要なのは夢なんでしょうね。
──ブランディングを心がけ、他のキャストとは違う存在感を身に付けた桜井野の花が次に求めたのは「コミュニケーション力」。もはや耳慣れた観すらある言葉が、本書を読み進めるうちに、彼女の飾りのない言葉と実績によってグイグイと迫ってきた。