この問題の大きさを改めて知らしめる調査結果が、ロイド・レジスター基金(Lloyd’s Register Foundation)から発表された。それによると、世界の全労働者のうち実に19%が、生涯のどこかの時点で仕事中にケガを負っていることが判明したという。
142カ国で働く計15万人の労働者からデータを集計したこの調査から浮き彫りになったのは、「2つの世界」が存在する現実だ。所得の低い国々では、農業や漁業が最も危険度が高い仕事となっている一方で、所得の高い国々における最大の脅威は、職場でのハラスメントや暴力に起因するメンタルヘルスの問題だ。
職場の危険度に関しては、男女のあいだでかなりの差が認められた。深刻な負傷の経験があると回答した人の割合は、男性では23%に達したのに対し、女性では14%にとどまった。
世界でも最も貧しいレベルにある国々では、農家や漁師、農業労働者のうち34%が、仕事中に深刻なケガを負ったことがあると回答した。全世界で見ても、農業及び水産業は最も危険度が高い業種であり、建設業、製造業がこれに続いている。
さらに今回の調査では、一部の国、特にアフリカ諸国で、深刻なケガを負った労働者の割合が、世界平均よりかなり高いことも判明した。シエラレオネでは、仕事中に大ケガを負ったことがあると回答した労働者が全体の69%を占め、世界で最も高い割合となった。2位はガンビア(64%)、3位はマラウイ(62%)だった。
アフリカ大陸の国々以外で唯一「ワースト8」入りしたのはミャンマーで、58%の労働者が、社会人になってからのいずれかの時点で仕事中に大ケガをした経験があると回答した。対照的に、仕事中に深刻なケガを負った人の割合が最も低い国はポーランドで、その割合はわずか4%だった。さらに、シンガポール(5%)とイタリア(7%)がベスト3を占めた。これらの国々と比較すると、米国の割合は20%と、かなり高いこともわかった。