松尾が牽引する「週末モデル」事業の「リモフォト」というサービスは、登録会員である女性に商品を送り、撮影してもらった画像をそのまま納品するというもの。コロナ禍の影響で急激に需要が伸びているという。オファーから納品までの全工程をオンラインでできる点に、新しい時代の働き方の一端が垣間見える。地方に暮らす女性も利用でき、個人・企業ともに可能性が大きく広がっている。
インターネットを駆使し、日本全国だけでなく、世界中の情報を提供し合える日は近い。地方であることのデメリットが解消され、より多くの女性が活躍できる場所が増えていくはずだ。
エメラルド倶楽部のセミナーや交流会でも、今年からオンラインミーティングツールが活用されている。セミナーのオンライン配信も、国内外からのアクセスが急激に増えたという。場所を移動せずとも情報交換がスムーズに行えるようになったことでも、女性が活躍できる場所は日本国内に留まらず、世界に広がっていく勢いだ。
菅原はこう語る。
「一歩海外に出れば、Made in Japanがブランドになるというケースが山ほどあります。いまの時代、言葉の壁の解決方法は幾らでもあります。日本で成功してから海外へ──という考え方では、もうおばあちゃんになってしまいますから。女性ならではのコミュニケーション能力を生かして、世界への一歩を踏み出せる女性が増えて欲しいですね」
今後の課題、挑戦したいこと
日本の女性は、自己肯定感が低い人が多い印象があると菅原は言う。能力をもっていても、自信がないために発揮できていない人も。女性であるということをマイナスに捉える人が多いので、その認識を変えることができれば、女性の活躍の場も自ずと広がり、社会全体も変わってくるのではないか。もうひとつ、女性経営者が事業拡大に必要な資金を調達するために、後押しをする投資家を増やす必要がある。
「私は将来、投資家になりたいですね。これまで男性から出資を受けたりすると、変な噂を立てられて足を引っ張られるというようなケースもありました。でも出資者が私なら、そうはなりませんから」
一方、松尾は今年就任したモノクロムの事業サポートに集中したいと語る。コロナ禍で世界中が混乱するなか、ビジネスの動向は予測不能だ。中長期経営計画、5カ年計画などはもはや意味をなさない。3カ月がショートターム、1年が中期、そしてロングタームなどもはやない。それくらいのスピード感をもった発想ができる経営者でないと、生き残りは難しいと考えている。
「3カ月、1年で何を見ていくのか。これまでの常識が通用しなくなった時代に、働き方をどう変えていくか、働く場に何を貢献できるかが、我々のなすべき社会貢献のひとつだと思っています。新しいワークシェアスタイルの提案、特に新しいテクノロジーによって可能となってくるところで何かができればと考えています。今後は海外も含めていろいろと仕掛けて、時代の変化を読みながら、女性も活躍できるより良い社会をつくるお手伝いができればと思います」
菅原と松尾は、手を携えての新しいプロジェクトをスタートさせようと話し合いを進めているという。これからのビジネスを考えたとき、ターゲットはオールジェンダー、オールエイジとなっていくと語る二人。それぞれの得意分野を生かすことで、きっとより多くの女性が活躍できる場所をつくり上げてくれることだろう。