世の中の消費の8割を女性が握っていると言われている日本で、女性の起業家が増えれば社会の活性化に繋がるはずだと二人は語る。今後、女性が活躍できるキャリアの選択肢はさらに増えていくだろう。
複業としての「週末モデル」
本業以外に週末だけのモデル業をやってみたいという女性と、そんな彼女たちを起用したいという企業を結ぶ複業支援マッチングプラットフォームが「週末モデル」だ。今は5000人の登録者数、登録企業数はおよそ1200社。運営会社であるモノクロムは、人材派遣やキャリア紹介とは違い、自分の好きな時間に好きな仕事を選べるという、多様化した働き方のプラットフォームをつくることが社会貢献につながると考える。松尾はこう話す。
「女性は非正規雇用がいまだに多いという現状があります。これからの女性は、男性以上にさまざまな働く場をもつべきだと思います。日常では、例えば美容師や看護師、主婦の方が、登録モデルとして撮影を積極的に楽しんで、生き生きとモデルをやっています。エメラルド倶楽部の会員となる女性経営者たちの働き方とは異なりますが、これも新しい時代の働き方のひとつの形になっていくでしょう」
「週末モデル」に登録している女性は、仕事と家庭だけではなくモデルという側面ももつことになる。たとえると宝石のファセットのように、輝く面をたくさんもちたいという価値観も、いまの女性たちの心をつかんでいるのだ。
これからの女性の活躍とオンラインの活用
欧米諸国と比較すると、女性に活躍の場と機会を与えている会社はまだまだ少ないという。古い会社ほど体制を変革しきれておらず、まだまだ道半ばという印象が強い。
会社の在り方を変えるためには、法制度から変えていく必要があると松尾は語る。ある程度大きな企業には評価制度に基づくキャリアプランがあるが、途中で産休を取ったりするとそこで止まってしまうことも。そのためには社内ルールだけでなく法制度の修正、非正規雇用の扱い方も変わらなくてはならない。会社を個人事業主の集まりと見なすような新しい発想も必要だという。菅原はこう話す。
「日本に女性起業家が少ない理由として、そもそも重要な仕事を任されていない、役職がつかない、部下がいないと行ったことに起因する経験不足が挙げられます。30〜40代で起業する人が多いのですが、過去にマネージメント経験がないので、起業した途端にすごく苦労してしまうのです」
今後より成果報酬型の時代になっていくのだとすれば、良い点としては評価基準がよりクリアになり、女性もより活躍しやすくなるはずだ。また、これまで女性は結婚したり、子供を生んだりというライフステージの変化によって、最前線から退却しなければならない時期があったが、折からのリモートワークの浸透もあり、この点においても改善されていく見通しもある。