中国では31%が「社会恐怖症」?
次に、日本と韓国だけでなく、中国の若者を巡る現状にも目を向けたい。
中国のグローバルメディアCGTNによると、中国では、一定数のミレニアム世代とZ世代の若者とたちが「社会恐怖症」であることが国内の調査でわかった。97%もの若者が、これまで一度は対人関係に不安や恐怖を感じたことがあるそうだ。そのうち、多くの若者が、ソーシャルネットワーク上での人間関係や、一人の時間を好み、リアルよりバーチャル上で生きることを楽しんでいることがわかった。
中国でも若者世代のネット依存を懸念する動きはあるが、止まることなく加速する一方だ。私自身も過去に公共交通機関で中国人観光客たちが、小さな子供たちにタブレットを渡して落ち着かせている光景を何度も見たことがある。この様子は日本でもよく見かけるようになった。インターネットが幼い頃から深く根付いてしまっているのだ
一方、日本でも、今年4月の内閣府の調査によると、青少年の93.2%が、インターネットを利用していると回答した。特に、Z世代はデジタルネイティブとも言われ、インターネットとともに成長してきた世代だが、リアリティの人間関係構築は他の世代と比べて経験が少ないのではないだろうか。
コロナショックにより、必然的にネットに依存する環境にシフトしたが、ソーシャルメディアが発達し、利用者が増えた分、誹謗中傷などネット上でのコミュニケーションが、もう一度見直されるべきだと再確認した。
ヨーロッパでは、常に疑い、自分の意見をはっきりと
数年前から韓国に住むオランダ人の20代の女性は、アジア人たちのメディアに対しての価値観は、ヨーロッパと少し異なると話した。ヨーロッパの人たちは、何事にも常にクエスチョンを持つ傾向があるそうだ。
「華やかな投稿を見ても、『これ本当?』とほとんどの人が一度は疑うため、ヨーロッパの人はSNSに感情を振り回されることがアジアと比べて少ないと感じると思う。アジア人はメディアの情報を忠実に追いかけ信じる傾向があると韓国に数年住みながら思った。
私たちは、『いつ、どこで、誰の証言か』など、根拠がしっかりしているニュースを見て、初めて自分の考えや意見を持つようになる。普段ニュースやSNSをチェックしたり投稿を楽しんだりするけど、常に揺るがない自分たちの意見が強くある」
ヨーロッパを訪れたことがある人はわかるかもしれないが、アジアの街で見かけるようなモデルや俳優が大きく載った広告をほとんど見かけない。特に飲食系の広告については、オランダ人の女性が韓国に初めて来た時、お酒のポスターに俳優の顔が大きく写っていることに、違和感を感じたそうだ。
アルコール飲料を売るためにインフルエンサーやモデルの力が必要な理由がわからなかったからだ。その時、彼女は「アジア人たちがいかに著名人や有名人を高く評価し、彼ら彼女らから影響を受けているかを知った」と語った。
特にアジアでは、SNS上でのインフルエンサーの発言や投稿の注目度が高く、多くの人が期待する振る舞いではないと非難が集中するのだろう。