新型コロナはインフルに似た「季節性ウイルス」になるのか?

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「世界中で感染が急速に拡大していた2020年3月7~13日、各国の144地域で気温と湿度、緯度、公衆衛生当局の感染対策に関するデータを収集し、1~2週間後までの感染の広がり方を分析した。その結果、感染者の増加に影響を及ぼしているとみられたのは、気温ではなくソーシャルディスタンスの確保や学校の閉鎖など、当局が実施した措置だった」

大半の人にSARS-CoV-2に対する免疫がないことも、この結果に影響を与えていたと考えられる。免疫がないことは、基本再生産数(R0)がその他の季節性の呼吸器ウイルスよりも相当に高くなることを意味する。

「Frontiers in Public Health」に掲載された論文の著者、レバノン・ベイルートにあるベイルート・アメリカン大学のハッサン・ザラケット博士は、次のように述べている。

「集団免疫が確立されるまでは、季節を問わず流行が続くだろう」「だが、自然感染とワクチンの接種によって免疫を持つ人が増えれば、R0は大幅に減少するはずだ。SARS-CoV-2は、季節的な要因により大きく影響を受けるようになるだろう」

一方、SARS-CoV-2はこれまでのところ、感染の広がり方などにおいて、その他のコロナウイルスと異なる点が多いと指摘する専門家も多い。たとえば、COVID-19は一度かかって回復しても、すぐにまた感染する例が報告されている。

自然に集団免疫を確立させようとの試みは、今のところうまくいっていない。私たちの多くがワクチン開発に望みをかけるなか、完成してもその効果がどの程度持続するものになるかは分からない。さらに、誰もが接種を受けられるようになるのは、2024年以降とも報じられている。

こうした状況では、集団免疫の確立は非現実的な考えともいえそうだ。最終的には季節性のインフルエンザと同様になるとしても、それがいつになるのかが問題だ。

編集=木内涼子

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