6500以上の政府機関がAWSを活用
──現在の顧客数は?
世界180カ国・地域の公共部門がAWSを使っています。政府機関は6500以上、教育機関は1万1000以上、非営利組織が2万9000以上です。日本を始め、世界数十カ国にパブリックセクター部門を設定しています。
──日本の政府や地方自治体でもクラウドの受け入れは進んでいますか?
米国と比べると遅れていますが、ここ数年で大きく進展しています。我々も日本にパブリックセクター専門のチームを設けており、日本のニーズをしっかりと受け止めています。
最近の事例だと、つくば市がブロックチェーンとマイナンバーを利用したネット投票システムをAWS上で構築しました。ストレージサービス「Amazon S3」、コンピューティングの「Amazon EC2」、ブロックストレージ「Amazon Elastic Block Storage」などを使って、高性能なインフラを構築しています。
名古屋大学医学部附属病院でも、様々なデータから機械学習を用いて高齢者の健康上のリスクを分析することで適切なサポートをするためのシステムでAWSが選ばれました。この事例は、様々なデータを共有することでより良い意思決定に役立てているという点で、重要です。様々なデータを組み合わせて機械学習などから洞察を得る──これはクラウドコンピューティングが得意とすることですが、(政府や公共機関でも)企業と同様にデータへのアクセス、様々なデータの組み合わせをクラウドで実現する動きが活発です。
日本は情報が市民にきちんと行き届いている国です。クラウドを利用することで、日本の政府、公共機関、教育機関、NPOはより迅速に動き、市民にサービスを提供できます。
月に7万件の問い合わせを受理できるように
──新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、各国の政府に迅速な対応が求められました。
まだまだ戦いは続いていますが、この数ヶ月を振り返ると、実にたくさんのイノベーションが起こりました。政府は市民からの問い合わせに対応しなければならず、学校はオンラインに移行しました。これほど世界中の市民が自分たちの政府からの情報を得たいと思ったことは、なかったのではないでしょうか?
これに応えるため、政府や教育機関の多くがクラウドを利用して新しいソリューションを迅速に立ち上げました。例えばロードアイランド州の労働訓練当局は、失業手当の問い合わせのためのシステムをAWSを利用して構築しました。人々は不安を感じており、迅速に対応する必要があります。人口の2割近くが申請しようとしており、当局は我々のコールセンターソリューション「Amazon Connect」を10日で実装しました。
それまでのシステムでは、同時に処理できる件数は74件でしたが、Amazon Connectはこれを2000件まで引き上げました。コロナ前では月に2700件しか受理できなかったのが、Amazon Connectを実装後に7万件を受理できました。