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2020.09.04 08:30

時価総額2.9兆円のクラウドセキュリティ企業「Okta」、躍進の理由

Nipitpon Singad / EyeEm

クラウドセキュリティ企業「Okta」の創業者、Todd McKinnonは複雑な心境でPCの画面見つめていた。米国の失業率は10%を超え、新型コロナウイルスによる死者数は8月末時点で17万8000人に達している。

一方で、Oktaの時価総額は急拡大し、彼はビリオネアの仲間入りを果たした。「世界では様々な問題が発生しているのに、私は一日中PCの前に座っているだけだ。罪悪感を覚える」と48歳のMcKinnonは話す。

Oktaの成功はパンデミックがもたらしたと言える。同社は、企業の従業員がクラウドを安全に利用できるサービスを提供している。IT管理者は、Oktaを導入することで従業員の利用状況を管理できる。

テレワークが拡大する中、Oktaは3月以降で1000社の新規顧客を獲得し、契約社数は8950社に達した。オーストラリア赤十字やLVMH、Equifax、Western Unionなど、数多くの企業が新たにOktaのユーザーとなった。

「まるで津波のような勢いで新規顧客が増えている」とMcKinnonは話す。

Oktaの直近の四半期の売上高は2億ドル(約212億円)で、前年同期比43%増となった。株価は2017年のIPO以来1200%上昇し、時価総額は270億ドル(約2兆8700億円)に達している。

McKinnonの保有比率は4%で、資産は推計17億ドルだ。「世の中は大変な混乱の最中にあるが、我々の会社はそのことで恩恵を被っている」と彼は言う。

Oktaの競合には、マイクロソフトやPing、IBM、オラクルなど大手企業が含まれるが、急拡大した時価総額が実力に見合ったものかは精査が必要だ。モーニングスターのアナリストであるMark Cashは、長期的にはOktaの成長に強気な見方を示しているが、「現状のバリュエーションはバブルだ」と話す。

McKinnonにとって、Oktaのセールスポイントはシンプルさだという。OktaはOffice 365からG Suiteまで、あらゆるプラットフォームに対応している。「我々はユーザーが誰かを確認してログインを許可し、ユーザーの利用データを蓄積する。それだけだ」とMcKinnonは言う。
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編集=上田裕資

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