一方で、Oktaの時価総額は急拡大し、彼はビリオネアの仲間入りを果たした。「世界では様々な問題が発生しているのに、私は一日中PCの前に座っているだけだ。罪悪感を覚える」と48歳のMcKinnonは話す。
Oktaの成功はパンデミックがもたらしたと言える。同社は、企業の従業員がクラウドを安全に利用できるサービスを提供している。IT管理者は、Oktaを導入することで従業員の利用状況を管理できる。
テレワークが拡大する中、Oktaは3月以降で1000社の新規顧客を獲得し、契約社数は8950社に達した。オーストラリア赤十字やLVMH、Equifax、Western Unionなど、数多くの企業が新たにOktaのユーザーとなった。
「まるで津波のような勢いで新規顧客が増えている」とMcKinnonは話す。
Oktaの直近の四半期の売上高は2億ドル(約212億円)で、前年同期比43%増となった。株価は2017年のIPO以来1200%上昇し、時価総額は270億ドル(約2兆8700億円)に達している。
McKinnonの保有比率は4%で、資産は推計17億ドルだ。「世の中は大変な混乱の最中にあるが、我々の会社はそのことで恩恵を被っている」と彼は言う。
Oktaの競合には、マイクロソフトやPing、IBM、オラクルなど大手企業が含まれるが、急拡大した時価総額が実力に見合ったものかは精査が必要だ。モーニングスターのアナリストであるMark Cashは、長期的にはOktaの成長に強気な見方を示しているが、「現状のバリュエーションはバブルだ」と話す。
McKinnonにとって、Oktaのセールスポイントはシンプルさだという。OktaはOffice 365からG Suiteまで、あらゆるプラットフォームに対応している。「我々はユーザーが誰かを確認してログインを許可し、ユーザーの利用データを蓄積する。それだけだ」とMcKinnonは言う。