ビジネス

2020.09.04

時価総額2.9兆円のクラウドセキュリティ企業「Okta」、躍進の理由

Nipitpon Singad / EyeEm


McKinnonはカリフォルニア州フリーモントの出身で、企業勤めの父親は人事部の重役で、母親は専業主婦だった。自宅にPCはなかったが、友人の父親がデータサイエンティストだったため、幼いころからPCに触れる機会があったという。

McKinnonは、オークランド・アスレチックスに入団して外野手になることを夢見たが、才能の限界を感じ、1989年にブリガム・ヤング大学に入学してビジネスを学んだ。その後、彼はカリフォルニア・ポリテクニック州立大学の大学院に進学し、インターネット・バブルが過熱していた1995年にコンピュータサイエンスの修士号を取得した。

McKinnonは、ソフトウェア会社「PeopleSoft」で10年近くプログラマーとして勤務した後、セールスフォースに転職し、最終的にはエンジニアリング部門の責任者を務めた。彼はクラウドコンピューティングに将来性を見出し、2009年に自らの会社を設立した。


「Okta」創業者 Todd McKinnon(C) Okta

起業に際し、パワーポイントの資料を使って妻を説得した話は、語り草となっている。彼は、上手くいけばIPOで1億ドルを手にすることができると述べ、妻の承諾を得た。

McKinnonはプログラマーらしく、社名を「SaaSure」と名付けた。セールスフォースで同僚だったFrederic Kerrestが参画し、2人はクラウドアプリケーションの信頼性を評価するソフトウェアの開発に着手した。

「我々は、サーバーの重要指標を管理する心電図のようなものを作ろうと考えた」とMcKinnonは話す。しかし、当時は誰もクラウドの信頼性など気に掛けなかったという。

「顧客企業からは、興味深い問題だが重要度はそれほど高くないと言われた」とKerrestは話す。顧客と話す中で、2人は企業にとって最大の課題は従業員をセキュアに管理できていないことであることに気が付いたという。
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編集=上田裕資

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