ビジネス

2020.09.04

時価総額2.9兆円のクラウドセキュリティ企業「Okta」、躍進の理由

Nipitpon Singad / EyeEm


2人は方向転換を図り、社名を「Okta」に変更した。Oktaは、パイロットが雲(クラウド)の量を表す単位として使う航空用語だ。Oktaはアンドリーセン・ホロウィッツが主導したシリーズAラウンドで1000万ドルを調達した。アンドリーセン・ホロウィッツは、シードラウンドでもOktaに出資している。

ビジネスプランは改善したが、実行までには時間を要した。二要素認証をはじめとするOktaのセキュリティツールを最も必要していたのは大企業だったが、彼らにとってOktaは無名のスタートアップであり、面談に応じてくれなかったという。

それでも、コースラ・ベンチャーズとGreylockがOktaの将来性を評価し、同社は2011年の夏に実施したシリーズBラウンドで1650万ドルを調達した。ソフトウェアの信頼性が高まるに連れて中堅企業がOktaの製品を導入するようになり、大企業の顧客も徐々に増えていった。Oktaは、2011年の第4四半期に60万ドルを売り上げ、初めて売上目標を達成した。その後、売上高は急成長し、2015年には4100万ドルに達した。

テレワークの浸透で業績は急拡大


Oktaは2017年にIPOを果たし、直ちに投資家から高い評価を得た。「サイバーセキュリティは専門的で分かりにくいイメージがある。しかし、Oktaの製品は、ユーザーが1つのIDで全てのアプリケーションにアクセスできるというもので、非常にシンプルだ」とBerenberg Capital Markets のアナリスト、Joshua Tiltonは話す。

新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークが必須になると、ウォールストリートのアナリストたちもセキュアな認証ができるOktaのようなツールを使い始めた。「彼ら自身がセキュリティ市場を牽引する製品のユーザーになった。投資家たちはかねてよりOktaを評価していたが、今ではさらに評価が高まっている」とTiltonは言う。

McKinnonは、罪悪感を覚えつつも、ビジネスが順調であることに満足しているという。「株価の推移や自分自身の資産額を見ると、会社が成功していることを感じることができ、満足感を覚える。私は会社を立ち上げて以来、執着心を持って事業を運営し、口で言うだけでなく行動で示してきた」とMcKinnonは話した。

編集=上田裕資

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