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イノベーションの舞台裏

畑に刺さっているgrow CONNECTのプロトタイプ。このセンサーがアプリを通じ通知をする仕組みだ。

「農」という営みは、近代に至るまで多くの人々にとっての日常だった。しかし現代では多くの人が、その営みのほとんどすべてを農家のみに頼りきっている。そこにたくさんの時間と労力がかかっている事実を、あまり意識しないままに、ただ消費だけを繰り返している。

私たちはこのまま、生きる上で不可欠な「食」や「農」にまつわることを、人まかせにしたままでいいのだろうか?

「生きる上で最も大事な“食”という要素をアウトソーシングし続ける社会には、いつか限界がやってくる。既存の農業一択という現状を、なんとか変えなければいけない」

「プランティオ」の芹澤氏はそんな志を持って、現在の事業に心血を注いでいる。

食と農が生活の中心になれば、あらゆる社会問題が解決する。


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プランティオ代表の芹澤孝悦。「SOCIAL GROW OUR OWN──自分たちが口にするものは自分たちで育てる」というミッションを掲げて、「grow」というブランドを展開している。

「私たちは野菜を育てることを農家さんたちにまかせきってしまっていることで、フードロスや食料自給率など、食に関するさまざまな問題を見過ごしてきました。スーパーで野菜を買って食べるように、ただ消費するのではなく、自分たちで食べるものをみんなで楽しく育てる。

そんな自給自足を超えた相互扶助の中で成立する“共給共足”の社会をつくる過程で、生きるうえで大切なものを取り戻していきたい。そんな思いを込めてブランドを名付けました。ハードウェアやアプリ、ウェブサービス、シェアファームなど、『grow』という冠でさまざまなサービスを展開しています」

そのひとつが、今回Makuakeでプロジェクトを開始したアグリセンサー「grow CONNECT」だ。6種類のセンサーを搭載したハードウェアとスマートフォン専用アプリ「grow GO」を使う事で手軽にしっかりと野菜栽培が可能になるプロダクトだ。

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「6つのセンサーを通して土壌や気温、湿度のデータを蓄積。AIのサポートで最適な育て方をナビゲートしてくれます。スマートフォンアプリを通じて水やりや収穫のタイミングを通知してくれるので、誰でも簡単に野菜を育てることができます。

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プランティオが運営する、IoT/AI搭載コミュニティ農園「grow FIELD」で育てられている野菜の栽培スケジュールがアプリで表示されている様子。

冷蔵庫から野菜を取り出すような感覚で、このアグリセンサーを使って育てた野菜を収穫して、料理に使うことで、自分が育てたものを食べる楽しさを知ってほしいと思っています」

さらに、アプリを通じて栽培状況をシェアすることにより、野菜づくりをハブとしたコミュニティ形成ができるという。

「たとえば、野菜を育てている様子を、アプリを通じて家族や友人と共有することができます。別の場所に住んでいるおばあちゃんが、息子夫婦のベランダの野菜の様子を見て『もうすぐ水やりよ』なんてコメントを入れることも可能です。

また、近所の人と栽培状況を共有して、育てた野菜や種の交換なんかもできます。食と農というフックがあれば、コミュニティは今よりもっと豊かになっていくはずです」

取材・文=西山武志、森ユースケ 撮影=杉原洋平

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