目指すは「緩和」と「適応」
具体的な施策には、日本気象協会が有する気象予測に基づく「商品需要予測技術」とKPMGのコンサルティング力を活かした、製造業や外食業での仕入れ、販売、マーケティング計画、生産計画、サプライチェーンの最適化支援などが含まれる。
両社は今回の協業で、それぞれの領域で培ったノウハウを活用。気候変動に対する「緩和」、リスクの軽減を目指す「適応」の両方に向けたビジネスモデルの変革を目指す。また、リスク管理態勢の強化をはじめとしたコンサルティングサービスを提供し、企業に対するより実効性のある支援を行っていく方針だ。
提供サービス
需給予測とオペレーションの最適化支援
日本気象協会が有する高精度な気象予測を踏まえた商品需要予測と、KPMGの経験豊富なコンサルティング力を活かし、主に製造業や製造小売業・小売業・外食業における仕入れや販売・マーケティング計画の最適化、生産計画やサプライチェーンの最適化、ダイナミックプライシングの実施など、オペレーションの最適化を支援。
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金融商品およびサービスの開発支援
高精度な気象および気候予測データと、金融データなどの連携を図り、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資等も考慮した新たな気候変動の緩和・適応に向けた金融商品の開発や、投資・運用業務の最適化を支援。また、気象に関連した災害や事故を想定した、顧客向けの情報提供サービス、保険損害サービスなどのリソース配置最適化など、金融、保険業への気象予測および気候変動分析のビジネス活用の支援を行う。
早期アラート情報に基づく有事対応およびBCPの高度化支援
早期かつ高精度な気象災害予測をもとに、企業における有事の対応を含めたBCP(事業継続計画)の実効性強化を支援。気象庁による公開情報に先立ち、特定事業者向けに洪水などの気象災害の予測を図ることで、早期に災害発生を検知した場合の行動計画を整備。これにより、有事の際には早い段階で被害軽減・回避行動を取ることが可能となる。
気候変動に対する緩和策また適応策が必要な業界は多岐にわたり、あらゆる分野のインダストリーでサービスの拡充を進め、海外への展開も予定している。さらに気候変動に関する情報を両社による共同セミナーや講演を通して積極的に発信。企業のみならず個人・社会全体へ向けた環境意識向上の啓発を行い、将来の温暖化の緩和に寄与することを目指している。
近年、日本では大型台風や局地的大雨などの異常気象に起因する災害が増加傾向にあり、気象による社会や経済への影響も高まりつつある。
世界的な課題として国連が提言する「気候変動に関する政府間パネル」では、人為起源による気候変動によって、将来より深刻な事態となることが懸念されている。
日本はパリ協定を受け、2013年比で温室効果ガスを2030年までに26%削減、2050年までに80%削減という目標を掲げた。この取り組みを確実に推進し、SDGs(持続的な開発目標)を達成するためにも、企業は経営の重要課題として、気候変動へのより効果的な対応を行っていくことが求められる。