バイデンの計画は、これまで指名を争ってきた候補たちほど厳格なものではないかもしれないが、トランプに比べれば、石油生産に対して厳しい姿勢をとっていることはまちがいない。さらに、バイデンの政権には、自由放任主義のトランプ政権の構成員とは考え方の違う人たちが加わるはずだ(トランプ政権は、連邦政府の所有地でさえ膨大な量の石油生産を推進し、ほとんど規制を設けていない)。バイデンが政権を握れば、環境保護庁(EPA)と内務省は、石油会社による新たな油井の探査・掘削や、生産した石油の輸送のハードルを現在よりも高くするだろう。
ロシアやサウジアラビア、そして、石油輸出国機構(OPEC)に加盟するそのほかの産油国は、それを理解している。長年のあいだ、石油価格は1バレル100ドル前後かそれ以上だったが、現在では40ドルをどうにか上回っている状況だ。ここ6年近くは、3桁に近づいたことはない。ロシアやサウジアラビアなどの産油国は、OPECや、非加盟の主要産油国からなる「OPECプラス」を介して市場を操作して価格を上げようとしてきたが、再三再四、失敗に終わっている。どうやら、石油価格に対する、米国におけるシェールオイル生産規模の影響が大きすぎるようだ。
産油国にできるのは、米国の生産量を減らす勢力に期待することくらいだ。したがって彼らは現在、バイデンが勝利してその期待に応えてくれることを願っているにちがいない。