・ドローンの名で知られる無人航空機は、医療提供のラストワンマイルの近代化に貢献しています。
・世界経済フォーラムの取り組みのひとつである「メディスン・フロム・ザ・スカイ」では、インドのテランガーナ州政府およびアポロ病院とのパートナーシップのもと、南アジアにおけるドローンベースの医療提供の拡大に向けたモデルを提供しました。
・ドローンは、血液、ロングテール型の医薬品、医療サンプル、さらには臓器の大規模な配送を担うことができる可能性を秘めています。
輸送の問題をドローンが解決
現代のヘルスケアシステムは、人々の生活の質を向上させるために、人間の知性が成し遂げた最大の功績のひとつです。しかし、世界の僻地や開発途上地域には、今でも基本的なヘルスケアへのアクセスできない人々が多くいます。新型コロナウイルスのパンデミックの最中で、このようなギャップを埋めることがさらに緊急性の高い課題となり、私たちの健康の成果はすべて相互に関わりあっていることが浮き彫りになりました。
何十年もの間、医療ロジスティクス分野において、廃棄物とアクセスがトレードオフ関係にあり、そのジレンマの中心には発展途上国がありました。
無人航空機は、医療提供のラストワンマイルを近代化し、アクセス面でのギャップを埋めることができる優れた手段です。ドローンを使えば、場所を問わずにジャストインタイムで主要な医療アイテムを再補給することができます。医療システムの中には、現地で血小板や血液などのコールドチェーン製品を保管するための設備を用意できないところもありますが、ドローンはこれらをオンデマンドで供給することができます。
臓器や血液の輸送など、すでに実用化が進む
昨今、医療ロジスティクス用ドローンに関して、あらゆる画期的な出来事が起こっています。昨年には、メリーランド大学のドローンにより運ばれた腎臓が、深刻な腎疾患に苦しむ患者へ無事に移植され、ドローンによる初の人間の臓器の配送例として歴史に刻まれました。
2月の「アフリカドローンフォーラム」では、「レスキューロボット」が議論の中心になり、無人飛行機が、需要の高い供給品をルワンダやガーナのなどの国で、丘や時間のかかる曲がりくねった道で隔てられた地域へ運ぶという、ラストワンマイルのドローン配送が紹介されました。
今日までに、ジップライン社のドローンはルワンダ国内で100万キロ以上飛行し、1万3000以上の配送を行い、その人道的な潜在能力を実証しています。ドローンは現在、首都キガリを除く地域での輸血用血液配送の35%を担っています。ガーナでは、新型コロナウイルスの試験試料のドローン配送も始まりました。
ドローンの支持者は、他の国にも広がりつつあります。巨大な国インドも、同様に厳しい地理的条件と大きな医療格差を抱える国であり、ドローンを利用した配送という解決策を導入する必要性を認識しています。
世界経済フォーラムの取り組みのひとつである「メディスン・フロム・ザ・スカイ」も、インドのテランガーナ州政府およびアポロ病院とのパートナーシップのもと、地域におけるドローンベースの医療提供の実現および拡大を支援してきました。