テクノロジー

2020.07.28 08:00

世界の僻地で医療ドローンが「格差」を埋める可能性


医療ケアの格差、世界の医療、途上国医療
世界には基本的な医療にアクセスできない人が多くいる(イメージ=Our World in Data)

インド全域への物資輸送を計画


この取り組みの次のフェーズは、これまでのトライアルと研究を、空の上での実践につなげることです。世界経済フォーラムは、インド民間航空省およびインド空港当局が主催するイベント「ウィングス・インディア2020」で、すべての重要なステークホルダーを招集し、インドにおける医療用品のドローン配送の可能性を実証するパイロットプロジェクトを設計するためのワークショップを、テランガーナ州政府と共催しました。このコミュニティでは現在、インドにおける新型コロナウイルス感染拡大に対応するため、ドローンを活用する方法を模索しています。

このプロジェクトは、インドのコールドチェーンシステムのオーバーホールに大きな影響をもたらす可能性があります。ドローンが実用化されれば、インドのヘルスケアセクターは、血液、ロングテール型の医薬品、医療サンプル、さらには臓器の、インド全域及び地域への大規模な配送を実現できるかもしれません。テランガーナ州政府は、ドローン配送を実現できる参加者を募る「関心表明書」の発表など、これを実現するための大きな第一歩を踏み出しています。

インド政府が、ドローン使用の主流化を可能にする政策環境を整えることに意欲的なため、広大なインドでも今後はほとんどの地域で適切な医療が提供されるようになるでしょう。

インド民間航空省は先日、新型コロナウイルス感染拡大による危機において、ドローンの技術が担うことのできる重要な役割を認め、オンラインの「デジタルスカイプラットホーム」を通じて、新型コロナウイルス関連用途のドローンのフライトリクエスト処理を迅速化する、特別な手順を作成しました。インドやアフリカでの取り組みは、他の国が倣い、医療用ドローン調達のシステムを構築し、医療における主要なギャップを埋めていくためのモデルとなっていくかもしれません。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>

文=Vignesh Santhanam, India Lead, Drones and Tomorrow's Airspace, World Economic Forum

ForbesBrandVoice

人気記事