最大のメリットは、「エントリーの質」が変わること
では採用ブランディングに成功すると、どのようなメリットがあるのか。
求職者には「有名企業だから」「給与や福利厚生が良いから」といった判断ポイントが確かにあるが、こうした動機ではいわば、“本命”ではない、とりあえずのエントリーになりがちだ。だが、もし知名度や待遇といった面だけでなく、自社らしさの浸透に成功すれば、求職者はあなたの会社で働く姿を想像し、転職先として真剣に検討しはじめる。
自社の文化が反映された採用メッセージが正しく受け手に届けば、学歴やTOEICの点数といった、“誰かが用意した採用基準”ではなく、「価値観」「ビジョン」「その事業をやる意義」といった “自社ならではの選考基準”で求職者を選ぶことができるのだ。
これはいわば、エントリー数至上主義な感もある現在の採用トレンドと対比して、「エントリーの質」が高まることだと考えている。
その「エントリーの質」が高まった具体的な例が、Forbes JAPAN CAREERでトップメッセージを掲載した、パシフィックリーグマーケティング社(PLM)だ。
同社はプロ野球という、業界の魅力によって求人に対する応募数が非常に多い一方で、選考過程におけるミスマッチが課題だった。しかし、採用候補者がエントリー前にトップメッセージ記事を読むようになったことで、事業の方向性などの具体的なイメージを浸透させることに成功した。その結果として、「採用決定者/エントリー数」の割合を大幅に改善させた。
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結果として、採用コストダウンにも
エントリーの質が高まることは、結果的に採用コストを下げることにも貢献する。
もし大量採用から方針転換を図った場合、エントリー数が減ってしまうかもしれない。しかし、メッセージを入念に練った情報発信をすれば、上に挙げたようなとりあえずの応募を事前に減らすことに貢献する。そうなることで、応募書類チェック時間の短縮など、採用担当の作業効率が上がり、1人の採用あたりにかかるコストも圧縮できる。
さらに、マッチング段階から“自社らしさ”が明確に伝わり、求職者の期待やニーズとのすり合わせができていれば、「入社前後でイメージが違った」といった事態を未然に防ぐことにも繋がる。これによって社員の定着率が上がり、採用・育成などの費用対効果を高めることができる。