著者のジェイク・ナップはグーグルで、ジョン・ゼラツキーはユーチューブで、人の目を「1分、1秒」でも多く引きつける仕組みを研究し続けてきた「依存のプロ」だ。
そんな人間心理のメカニズムを知り尽くした2人だからこそ、同書の時間術はユニークかつ、きわめて本質を突いている。「人間の『意志力』などほとんど役に立たない」という、徹底して冷めた現実的な視点からすべてが組み立てられているのだ。
さらに、「いくら生産性を上げても、ひたすら他人の期待に応えているだけ」で、自分のためになっているわけではないという。では、このテクノロジー全盛のスピードの速すぎる世界で、人生を本当に豊かにするには、いったい時間をどう扱うべきか? 「ダイヤモンド・オンライン」からの転載で、同書からハイライトを抜粋して紹介する。
誰にも、強力な「時間泥棒」が1人いる
ほとんどの人はどうしてもやらずにいられない、とびきり強力なネットやアプリの「弱点」を1つは持っている。これを「散漫クリプトナイト」と呼ぼう。
スーパーマンですら「クリプトナイト」という物質に近づくと弱体化してしまう。
ふつうの人にとっての「散漫クリプトナイト」は、どんな防御もかいくぐって計画を邪魔してくる時間泥棒だ。あなたにとっての散漫クリプトナイトは、フェイスブックなどの一般的でわかりやすいものかもしれないし、JZみたいな変わり者なら、怪しげなヨットオタクの掲示板サイトかもしれない。
簡単な判別方法がある。
そのウェブサイトやアプリに数分(またはほんの数分のつもりが1時間)費やしたあとで気がとがめたら、それはおそらくクリプトナイトだ。
クリプトナイトを遮断する方法は、あなたの本気度と依存度によっていろいろある。
Getty Images
SNSやメールなど、パスワードを要求してくるクリプトナイトは、ログアウトする(本書「戦術18」)だけでペースダウンできる。クリプトナイトが特定のサイトの場合、集中したい時間はそのサイトをブロックするか、インターネット接続そのものを切断する(本書「戦術28」)。一歩進めて、スマホからアプリを削除したり、ブラウザの機能をオフにすることもできる(本書「戦術17」)。