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2020.07.01 16:30

代替肉ビヨンド・ミートにもコロナの影 投資判断は一転「売り」に

(c) Beyond Meat

植物由来の代替肉メーカー、米ビヨンド・ミートについて、英銀バークレイズは投資判断を「オーバーウェイト(買い)」から「アンダーウェイト(売り)」に2段階引き下げた。新型コロナウイルスで打撃を受けている外食産業が主要な販路になっていることを懸念した。

投資情報誌のバロンズによると、投資判断が一気に2段階変更されるのは異例だ。引き下げが嫌気され、ビヨンド・ミートの株価は6月29日の米株式市場の時間外取引で2.5%下落した。

投資判断を引き下げたバークレイズのアナリスト、ベンジャミン・トイアーは顧客向けリポートで「新型コロナウイルスの感染拡大前から、ビヨンド・ミートは売上高の面で外食チャンネルへのエクスポージャーが高まっており、足元では50%近くに達している」と指摘。外食産業の完全回復が2021年以降にずれ込むおそれがあるなか、その点が「短中期の下振れリスク」になっているとの見方を示した。

トイアーはあわせてビヨンド・ミートの目標株価を100ドルから115ドルに引き上げたが、バリュエーションが高い水準にある点には慎重な姿勢をみせている。

代替肉メーカーの代表格であるビヨンド・ミートの投資判断がいきなり180度変わったことは、植物性タンパク質食品市場の先行きが極めて不透明なことを露呈した。トイアーはビヨンド・ミートの株価分析で重要な要因として、外食業界で混乱が続いていることと、通常の食肉のサプライチェーンが回復してきたことを挙げている。

米国では新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中、植物由来の食品の店頭売り上げが急激に伸びており、ニールセンの調べでは代替肉の場合、5月13日までの13週間に前年同期比239.8%増えている。それでも、通常の肉に比べると売上高はまだ微々たるものなのが実情だ。

ロックダウンなど響き安定遠く


周知の通り、食肉業界は今回のパンデミックによって打撃を受けた。従業員に感染者の出た食肉工場が閉鎖された結果、サプライチェーンに支障をきたし、畜産業者は10万頭にのぼる豚や何千万羽もの鶏を安楽死させることを余儀なくされた。

しかし、農業経済学者のジェイソン・ラスクは最近、食肉のサプライチェーンはおおむね安定を取り戻したようだとブログに記している。

一方、環境研究機関ブレイクスルーインスティテュートの研究員、サロニ・シャーとダン・ブロースティンレイトは、飲食店の閉鎖や投資家の不安、研究の停滞が重なって植物性タンパク質業界は「安定とはほど遠い」状態になっていると警鐘を鳴らし、政府の資金支援が必要だと訴えている。

カナダでは最近、政府が植物性タンパク質食品メーカー、メリット・ファンクショナル・フーズに1億カナダドル(約80億円)を融資すると発表している。

編集=江戸伸禎

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