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2021.07.08

ラーメンブームで米国席巻の日本企業、「生麺通販」でも全米制覇?

オンラインストアから直接購入可能、「サンヌードル」の生ラーメンセット

ハワイ滞在中、麺好き・ラーメン好きの人ならば必ず一度はお世話になるのが「サンヌードル」、ハワイの麺業界を支える有名ブランドだ。

日本人のファミリーが経営するその会社は、ドンキホーテ、マルカイといった日系スーパーマーケットをはじめ、ジッピーズのサイミンなど、ラーメン店の多くの麺を手掛けている。

そんなサンヌードルが、オンラインストアで生ラーメンセットを販売すると発表した。その概要を紹介する。


米国ラーメン・ブームの陰の立て役者


日本生まれのファストフード、ラーメンはこの20年のあいだに米国各地で人気の高い料理になった。2004年にデイビット・チャンがニューヨークのイースト・ビレッジに「ももふくヌードルバー」を開店して以来、ラーメンは安くて手軽な麺料理から、シェフが精魂込めて完璧な一杯を創り上げるメインディッシュへと昇格した。

ラーメン・ブームの陰の立て役者は「サンヌードル」だ。1981年に米国で創業し、ラーメンやアジア系ヌードルの生麺を製造している。その種類は600以上で、取引先の80%はラーメンショップやレストランなどの飲食業だ。サンヌードルの成功の鍵はその職人技にあり、ラーメンショップやレストランからの細かい注文に完璧に対応できる。麺が0.1ミリ太いだけで、ゆで時間は10秒も長くなるからだ。

サンヌードルの顧客リストには「ももふく」、「アイヴァンラーメン」、「ももさんラーメンbyモリモト」、「ミッションチャイニーズ」、「拉麺さんシカゴ店」、レタスエンターテインユーエンタープライズの「タツヤテキサス店」、ロサンゼルスの「ラーメンフード byイラン・ホール」など有名店が名を連ねる。

サンヌードルは1990年代初めに消費者向けにも生麺の販売を始め、2015年以降は、「ホールフーズマーケット」などの大手食料品店や「ウェグマンズ」などの高級食品専門店にも販路を広げた。

ラーメンセットをオンラインで販売開始


5月29日、サンヌードルがオンラインストアをオープンし、消費者は生麺をオンラインで直接購入できるようになった。今のところワシントン、オレゴン、カリフォルニア、ネバダ、アイダホ、ユタ、アリゾナ、モンタナ、ワイオミング、コロラド、ニューメキシコの各州への配送だけだが、まもなくニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット各州への配送も始める。

「何年も前から、オンラインで購入したいという要望をいただいていました。新型コロナウイルスが蔓延している現状を考え、小売にもっと力を注ぐことにしたのです」とサンヌードル・ノースアメリカの夘木(うき)健士郎社長は語る。

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サンヌードル・ノースアメリカ社長、夘木健士郎氏。父であり現CEOの夘木栄人氏が1981年にサンヌードルを創業した。ハワイ州ホノルル、カリフォルニア州ランチョ・ドミンゲス、ニュージャージー州カールスタットに工場を持つ。
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翻訳・編集=川崎稔/S.K.Y.パブリッシング

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