特にスタートアップ企業などは、最初はなにをやるかがはっきり決まっていないことも多く、途中で方向転換(ピボット)することも珍しくない。その結果、当初予定していたプロダクトとは全く別のものが大ヒットを生み出した事例も多々存在する。
メインよりヒット率が高い? Y Combinatorは必ずサイドプロジェクトを聞く。
そんなこともあり、シリコンバレーのアクセレレーターの代表的存在の、Y Combinatorでは、応募チームに対して、メインのプロダクトに加え、サイドプロジェクトの内容も聞くようにしている。実際にサイドプロジェクトが評価され、合格したスタートアップもあるという。
我々が日本企業向けに提供しているプログラムでも、メインの事業プランとは別に参加者の一人が"勝手に"作っていたサービスが注目を集め、新規事業に結びついたケースも存在する。
今回は、実際の事例を交えながらそのプロダクトが生み出された経緯や、なぜサイドプロジェクトの方が上手く行く可能性が高いかなどを説明する。今回紹介するサイドプロジェクトから生み出されたプロダクトは下記の通り。
Twitter/Airbnb/Instagram/Slack/GitHub/Groupon/Twitch/WeWork/Unsplash/Fond/Basecamp/Lamborghini Miura/任天堂ゲームボーイ
元々はサイドプロジェクトから始まった著名サービス
では、実際にどのようなサービスやプロダクトが課外活動から生み出されたのかを紹介する。
今では誰もが知っている存在になったTwitterは、ポッドキャスティング系のサービスを提供していたOdeoというスタートアップの社内スタッフ向けプラットフォームとして始まった。
Odeoの創立時に入社したJack Dorsey(現Twitter CEO)が社内ハッカソンで生み出したアイディアを、CEOであるEvan WilliamsとCo-FounderのBiz Stoneが気に入り正式にプロジェクトを進め、リリース。従業員同士のつぶやきを中心に利用され始めた。
記念すべき初のツイートは2006年3月21日にJack自身による"setting up a twttr."というもの。その当時はtwttrと呼ばれていた。彼はその日の午後に"Inviting coworkers"とツイートし、従業員への利用を促した。
Jack Dorseyによる記念すべき初ツイート
しかし、肝心のOdeoの人気が伸びない状況下でのサイドプロジェクトリリースに対し、当時のTechCrunchには下記(和訳)のように書いている。
──メインのプロダクトであるOdeoはデザインが良い事以外は魅力が全くない。それなのにそれを改善もせずに、サイドでtwttrなるサービスを作るなんて、この会社の株主はどう感じているのだろうか?──
その後、2007年のSXSWでの紹介がきっかけでTwitterの人気に火が付き、最終的にはOdeoを捨て、Twitterをメインのサービスにし、上場までたどり着いた。