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2020.07.15

ツイッター、インスタ、Slack、Github、みんな「サイドプロジェクト」から誕生した

Photo by Austin Distel on Unsplash


■ 任天堂ゲームボーイ


厳密にはサイドプロジェクトではないが、ゲームボーイも本来はここまで大きなヒットになる"予定"ではなかった。

ファミコンが大ヒットさせた任天堂が、次世代ゲーム機のスーパーファミコンの開発を開始。しかし、その開発が予定よりも遅れていたため、スーパーファミコンが出るまでの"つなぎ"として、ポータブルゲーム機のゲームボーイを発表。

シンプルな白黒の画面や、ミニマルなデザイン、そしてポータブル性が人気を集め、任天堂を代表する人気プロダクトの1つになった。

サイドプロジェクトから良いプロダクトが生まれやすい5つの理由


ここまで読むと、人気のあるサービスのそのほとんどがサイドプロジェクトから生まれたんじゃないか、と思うほどヒット作が多いと感じる。おそらくそれは間違いではない。なぜか? その理由として、下記の5つのファクターが挙げられる。

1. 自分たちが一番のヘビーユーザー


最も重要なポイントがこれ。多くのサイドプロジェクトが自分たちの抱えている課題を解決するための活動であるため、必然的に製作チーム自体が一番のターゲットユーザーになる。

Slack, Basecamp, GitHubがそのパターンで、元々は自分たちの仕事をよりスムーズにするために開発された。そして、より使いやすいために頻繁にアップデートも行うので、自ずと他のユーザーにとっても魅力的なサービスになる。

また、WeWork, Airbnb, Fondなどは、スタートアップを経営している上での苦しさを少しでも楽にするために生み出されたこともあり、同じ苦しさを感じている人々からの支持を得やすい。

2. プレッシャーが少ない


「所詮サイドプロジェクトだから」という感覚から、良い意味で肩の力の抜けた取り組みを生み出す。厳密なプランもいらないし、厳しいスケジュールもない。また、お金儲けを気にしなくても良いという気楽さがある。

これは、上司や周りの目を気にすることなくプロジェクトを進めることが可能になる。特に日本企業に多い、周りの顔色を伺ってストレスを感じることが少なくなる。

それにより、大きな成功へのプレッシャーが少ない分、チームメンバーの心理的安心感が担保される。

Googleが以前行ったリサーチによると、チームが高いパフォーマンスを発揮するには心理的安心感が不可欠で、メインのプロジェクトはどうしてもそれを担保しにくくなる。

逆に考えると、人は強いプレッシャーを感じると集中力が下がり、現実逃避のために、他の行動をしたくなるため、メインプロジェクトがなかなか進まないケースもある。

これはまるで、締め切りが近い仕事があるときに限って、他の事柄に夢中になる感覚に近い。おそらく、ゲームボーイは、プレッシャーの少ない中で気軽に作り出されたカジュアルさがヒットしたと思われる。
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文=Brandon K. Hill(CEO of btrax. inc)

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