デザイナースキルのミスマッチ
そもそも、"優秀なデザイナー" という概念自体がナンセンス。それぞれのデザイナーには得意な範囲や、媒体、スタイルがあり、どんなプロジェクトに対しても良い結果を出すことのできるデザイナーは皆無だろう。
加えて、今の時代は、グラフィック、Web、イラスト、UI、UX、サービスデザイン、ビジネスデザインなどデザイナーが関わる範囲が無限大に広がっており、一人のデザイナーが全てのエリアで貢献するのはほぼほぼ不可能である。
これは医者に例えると分かりやすい。一言で"医者"と言っても、内科、外科、精神科など、異なる症状に対して、そこにエキスパートがいる。何事も適材適所が重要だ。
逆に考えると、デザイナーとしては、自分の得意な領域とスタイルを集解と理解し、そのスキルセットに合致した役割を与えてもらえるプロジェクトに関わらないと大怪我をしてしまう。
典型的な結果例: フレキシブルになっていないUI、ずれた色やレイアウト、タイポグラフィーの詰めが甘いパンフレット
心理的安全性が担保されていない
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優れたデザインを生み出すには、ディスカッションをする時点で、異なる役割の人から多種多様なアイディアを出すことから始める。その際には、"Yes, &"と呼ばれる、相手の意見を否定せずに、よりそれを良くする助言をする姿勢が良いとされる。そうすることで、どんな肩書きや役職の人であっても、否定されることを怖がらずに発言ができる安心感が得られる。
これを心理的安全性の担保されている状態と呼び、Googleが行った調査によると、パフォーマンスの高いチームに共通していたポイントだという。相手の反応が怖くてクレイジーなアイディアが出せないチームは、面白いプロダクトが作り出せない、と解釈しても良いだろう。
典型的な結果例: どこかで見たことのある平凡なプロダクト
多様性の低いチームメンバー構成
デジタルテクノロジーが進んだ現代においては、ユーザーを特定することは非常に難しくなってきている。それを逆手に取れば、世界中の多くの人たちに使ってもらうことが可能で、様々なニッチなニーズに対応することでヒットを生み出すことも可能になってきた。
その一方、作る側の多様性が低いと、異なる世代、性別、収入、カルチャー、生活様式のユーザーが求める体験に共感するのが難しくなってくる。例えば、日本人だけのチームの場合、一昔前の自動車や家電といった、ユニバーサルな商品には強かったが、多様性の高くなった現代のニーズに対応するのは非常に難易度が高くなってきている。この点も、シリコンバレーやシンガポールといった、他民族で構成される地域の地の利となっている。
典型的な結果例: 国内ユーザーにしか使ってもらえないサービス