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社会的マイノリティの眼差し

2020年6月14日、東京でも人種差別に抗議するデモが行われた(Getty Images)

アメリカ各地で起こっている人種差別と警察による暴力反対デモ。パートナーがアメリカ人の黒人である私にもいろいろと思うことがあるのだが、軽々しくものを言ってはいけないと今まで言葉にしてこなかった。

でも少しずつ心の整理をしながら、アメリカの外で暮らす2分の1ブラックアメリカンファミリーから見た、Black Lives Matterムーブメントについて書いてみたい。

早期のデモに関するニュースでは「暴力」が目を引き、大統領を筆頭に、自分と反対の意見を持つ者たちを力で抑え込もうとする政治家や警察官や、デモに紛れて暴力行為を繰り返す白人の扇動者も目撃されているけれど、最近のデモは全体的に、様々な肌の色の人たちが、Black Lives Matterなどのプラカードを掲げて平和的なデモを行っていた。

警察官の中には、そんな市民に寄り添っている人も多いと聞く。日本を含む世界各地でもアメリカの黒人に対する差別反対を表明するデモが行われ、この問題に目を向ける人が増えていることは喜ばしい。

「Black Lives Matterは白人問題」の真意


残念ながら日本でも、夫は黒人であるがゆえに心無いことを言われることもある。日本に来てからの就職活動中には、それが露骨に見えたものだ。それでも、道を歩いているだけで突然警察に呼び止められ犯罪者扱いされることは、この日本に住む7年間に彼自身は受けていない。本人曰く、アメリカでは、「万引きするのではないか」と店で監視されるのが日常だったが、日本ではそれもあまり経験していない。

2週間前、ホワイトハウス近くの教会前でトランプ大統領の写真を撮るためだけに、平和的なデモの群衆に催涙スプレーやゴム弾を発砲するという強制排除が起こった。ホワイトハウスまで地下鉄で4駅しか離れていない地区に住んでいた私たちには、デモに参加している友達や親戚がいる。アメリカ各地にいる姪や甥たちも、非暴力デモに参加していることを、私達は誇りに思い安全を祈っているが、同時に心配はぬぐい切れないでいる。

今回世界に広がったBlack Lives Matterムーブメントは、今に始まったことではないが、ジョージ・フロイド氏が警察の暴行で亡くなったことで起こった数々のデモを見ていて思うのは、人々の意識は変わりつつあるということだ。

ニュースでアメリカのデモが映る時の群衆をよく見てほしい。黒人だけではなく、白人や多種多様な人々が確認できる。なぜ黒人以外の人がこれほどまでにBlack Lives Matterを叫ぶのか。

アーティストのバンクシーが新作で、「Black Lives Matterは白人問題だ」と表明した。彼が言いたいのは、差別は黙認してきた人たちの問題でもあるということだ。直接差別行為をしないとしても、差別という暴力を黙ってみていた人たち自身が、沈黙こそが問題であり、その延長線上に、警察による行き過ぎた暴行事件が野放しになっていたとの認識が広まっているのではないだろうか。

どんな状況でも、暴力を振るうという行為は加害者の意思であり、被害者の意思では起こらない。差別という暴力も、被害者や反対する人ばかりが声を上げても、差別する人の意識が変わらないとなくならない。

文=大藪順子

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