学生のなかには、オンライン授業による教育は多額の授業料を支払う価値がないと考え、コミュニティカレッジや、学費が比較的安い州内の大学に数年間通って、基礎的な課程を修了しておこうと決断する人もいるかもしれない。
プログラミング教育を提供するカナダ企業ライトハウス・ラボの共同創業者でCEOのジェレミー・シャキは、オンラインでは新たな人間関係を築いて交流する機会が減ることや、実験を再現できない部分があること、授業レベルが基準に達しない可能性、また就職やインターンシップ参加の見込みが低いことを挙げて、教育の質が低下すると考える専門家が多いだろうと述べる。
しかし同氏によると、問題は教育体験だけではない。「大半の学生は、大学を選ぶ理由のひとつとして、キャンパスライフや大学生としての体験を考慮する点が忘れられていると私は思う」
そこには、相手と対面することで得られる体験が含まれている。たとえば、授業外で他の人たちと協働で思考したり、パーティーや集会などに参加したり、スポーツや娯楽を楽しんだり、大学の建物や歴史に触れたり、多種多様な人との出会いを通じて人生について発見したりするといったことだ。
こうした理由から、多くの人が、進学するよりも様子を見ることを選ぶことになり、大規模な「ギャップイヤー」的な時期が訪れるだろうとシャキは考えている。
それでも、アイビーリーグであれば問題なくオンライン授業を受ける学生を集められるだろうと考える専門家も多い。フロリダ大学のアンドリュー・セレパック博士は、学生は例年通り、一流大学に押し寄せるだろうと話す。学生たちは、教育の質やコストがどうであれ、大学の名前とそれに伴う名声に惹かれているというのだ。
「ハーバード大学などのアイビーリーグの授業料がほかの大学の2~3倍であるのは、教授陣や授業内容のレベルが他大学よりも2~3倍高いからではない」とセレパックは言う。「一流大学の授業料は、その名声に基づいて決められているのだ」