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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

松永エリック・匡史氏(左)と山口周氏(右)

新型コロナウイルスをきっかけに、これまでのロジックだけではサバイブできぬ時代を迎え、私たちは何をどう見て、考え、未来に備えたらよいのか。

企業、経済、社会。全てのフォーマットが変容を求められる未曾有の世界に対応するため、各界の識者から智恵を集結、「アフターコロナのニューノーマル」と題し、シリーズでお届けする。

今回は、独立研究者で著作者、パブリックスピーカーの山口周氏と、青山学院大学 地球社会共生学部 教授で音楽家の松永エリック・匡史氏に聞く。


──ビジネス界でもアーティストと呼ばれる人たちが活躍するようになってきているが、アートとビジネスの相互作用については?

松永エリック・匡史(以下、松永):キーワードは「共感」で、今を含めてこれからの時代はロジックではなくて、実際に感じたものを共感できることがますます大切になってきます。つまり、言葉では表現できずロジックでは説明できず何だかもやっとして分からないけれど、でも感情のまま突き動かされ共有しながら想像できないくらいの成果を出す、そんな世界観が今求められていると思います。

山口周(以下、山口):ビジネスは全ての面において、人と人との関わりで成り立つもので、そこから人はロジックで動くのか、あるいは共感に揺り動かされるのかという問いかけになってきます。でも、今の時代は「正統論や正しさ」が過剰供給されてしまい、価値がなくなってしまっている。だから、ディベートで勝っても人はついて来ないし、むしろモチベーションを上げ合うことで成果が生れて来るんです。正しいか、正しくないかという価値観で評価されないアートは、だからこそ、人の心、そして人そのものを動かし、結果的にポジティブな成果を生み出してくれるのだと思います。

──ポストコロナの日本はどのように変わって行くのか?

山口:実際の生活は物理的な動きで、仕事は情報のやり取りで成立する仮想空間。今までは会社は物理的な存在で、事務所がなければ仕事ができないと思っていたわけです。そこから都市とは何なのか?という問いかけが始まる。事務所が集合する都市がいらなくなると、自分の人生のオプションが増える。必ずしも週5日制ではなく、自分たちが持つ仕事の理念に沿って仕事との関り方を選択できる。たとえば、軽井沢に住めば住居費が安いので、報酬を上げずに生活の質が上がるという選択もあり得る。でも、そこには必ず「自己責任」という厳しい面もあることを忘れてはいけないと思います。

──産業構造の変化は?

松永:これからは、生きる意味を仕事にも求め、企業も働く意味を提示するという、価値の多様性を認識し、それに伴う生き様を求められる時代。今までの絵に描いた餅のような経営ビジョンではなく、学歴とのマッチングより、生き方とのマッチング、そして居る場所の心地よさや安らぎとの兼ね合わせが重要視されてくるはずです。そこで何よりも大切になってくるのは、企業の生き様つまりビジョンを持つことで、DXといわれているテクノロジーは二番手だということを認識するべきだと思います。

──企業と社会貢献性の関係はどうなるのか?

山口:まず、自分たちで考える能力を養う必要があると思います。そして何よりもアニマルスピリットが大切。つまり、人間性に根差した感覚で、行動を起こさずにはいられないというのがイノベーション、そして、業を起こす(企業)はそこから始まる。今はこの部分が失われていて、もっと基本に根ざしたアニマルスピリットを取り戻して、会社は何のために存在していて、自分はどう生きるのかという自身への基本的な問い掛けが必要だと思います。そういう観点から見ると、現在のリベラルアーツ教育(一般教養)が今の日本人の足腰を弱くしているような気がしますね。

文=賀陽輝代 構成=谷本有香

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