フェイスブックの社員らは、同社がトランプの人種的偏見に満ちた投稿を放置したことに、怒りを噴出させている。トランプはその投稿で、「略奪が始まれば、銃撃が始まる」と警告していた。
ザッカーバーグは2日の社内ミーティングで、今後は7つのポイントにもとづき社員らの懸念に対処していくと述べた。そこには社内の意思決定についての情報共有を進めることや、より幅広い意見を取り入れること、悪趣味なコンテンツへのラベルづけを検討することなどが盛り込まれていた。
ニュースサイトThe VergeのCasey Newton記者によるとザッカーバーグは、トランプの投稿を放置したことが、同社に「高い授業料」を支払わせることなったと述べたという。
ザッカーバーグはまた、今後も暴動が続くようであれば、フェイスブックが一時的にコンテンツポリシーを見直し、新型コロナウイルスに関する誤情報が問題化した際と同様の措置を講じる可能性についても言及した。
しかし、Newtonの取材に応じた従業員らは、ザッカーバーグが社員からの反発を恐れていることが、彼の表情や口ぶりから見てとれたと話した。「彼が本当の事を話していると思う社員は一人もいない」と従業員の一人は述べている。
ザッカーバーグは今回の社内ミーティングに先立ち、投稿を放置するという決定が正しかったと話し、この決定は自社のポリシーに違反していないと述べていた。
複数の幹部クラスの社員が、フェイスブックの上層部の決定を公然と非難し、多くの社員がツイッターでザッカーバーグに対する反発を表明した。
ザッカーバーグは社員らに次のように語った。「私は、自身の考えとプラットフォームの原則を分けて考える必要があることを認識していた。そこから導いた決定が、多くの人々を怒らせ、メディアの批判を浴びることになることも分かっていた」
「トランプから電話を受けた」と告白
フェイスブックでは6月1日に多くの社員が仮想ストライキ(社員の多くが在宅勤務のため、こう呼ばれている)を行ったが、その翌日には一人のエンジニアが会社の方針を公然と批判し、辞職した。
ザッカーバーグは2日の社内ミーティングで、彼が投稿を放置する決断を下した後、トランプから電話を受けたことを明らかにした。彼はその電話で大統領に対し、投稿の内容に失望したことを伝えたという。
トランプによる投稿は、フェイスブックが16年前に創業して以来で最大の試練をザッカーバーグに与えている。社員らによる反乱は、前例を見ない事態を引き起こし、ザッカーバーグと社員らの間の亀裂を広げている。
フェイスブックはこれまで比較的、統合のとれた社内体制を維持してきており、2016年の大統領選挙後の混乱の際にも、社内から反発の声があがることは無かった。
ザッカーバーグは「SNSが世論の審判役になってはならない」という主張を繰り返しており、5月28日のFOXニュースのインタビューでは、ツイッターがドナルド・トランプの投稿に「根拠がない」とフラグ立てを行ったことを非難し、「フェイスブックは、人々のオンライン上での発言が真実であるかどうかを判断する裁定者になるべきではない」と発言していた。