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2020.06.08 14:30

地震保険だけでは不十分? 被災した家を「再建できる」備えはどう選ぶか

manusapon kasosod/Getty Images


昔から、公的なカバーで不足する部分には、自助努力が求められてきた。つまり、各自が「貯蓄」などでカバーするしかないが、住宅購入時の頭金に充てたり、子どもの教育費がかかったりなどで貯蓄はまったくないという家庭も多いと思う。
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そこで、貯蓄でまかなえない部分は、保険を活用するのが合理的だ。地震被害時に備えるなら「地震保険」などを検討するとよい。

実は、地震保険を契約することは、国としてもウェルカムだ。その証拠に、公的なカバーで足りない部分を自分で民間保険に入って補うことに関し「保険料控除」という形で国はバックアップしている。地震保険料控除は、生命保険や損害保険、共済で扱うどの保険の保険料控除よりも、手厚く優遇されている。

そして実際のところ、地震保険は民間の保険会社だけでなく、政府と共同運営されている保険だったりする。
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地震保険だけでは家の再建は難しい


地震保険の最大のネックは、地震保険からの保険金だけでは、家の建て直しをするのには足りないという点かもしれない。

地震保険は単品で入ることができず、火災保険とセットで入る仕組みだ。火災保険に入っていても地震保険まではという人も多い。ちなみに火災保険の加入者に地震保険に入らない理由を聞いた調査では「50%までしか補償されないから」と答えた人が2割強を占めていた(損害保険料率算出機構「地震危険に関する消費者意識調査/2015年3月)。

言い訳に聞こえるかもしれないが、地震保険はもともと生活の立て直しを目的としてつくられた保険で、当面の生活費をまかなえる額をイメージして設計されているから、家の建て直しまでこの保険で叶えたいとなると、工夫しないとなかなか難しい。

それというのも、地震保険で契約できる額には上限額が設けられていて、一緒に契約する火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で、かつ、建物5000万円、家財1000万円までという縛りがあるためだ。

2000万円の家の例で言えば、火災保険2000万円の30%(600万円)~50%(1000万円)の範囲内での契約になる。ということは、家が全損となった場合の例では、最大で1000万円の地震保険金を手にできる【図表2 ケース1】。

当面の生活費と考えれば、まずまずの金額といえそうだが、家の建て直しもとなると、被災者生活再建支援法で300万円の給付金をもらっても、正直足りない。

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筆者が作成
*上記のほか義援金が受け取れる場合がある。
*「支援金」とは被災者生活再建支援法に基づく支援金のこと。
*建物の火災保険2000万円(地震保険1000万円)、家財の火災保険1000万円(地震保険500万円)で契約していた場合の例。

「それじゃ、家を建て直せない」と判断した人が次にとるのは、「家財」にも地震保険を付ける手だ【図表2 ケース2】。

家財に1000万円の火災保険を付けていれば、最大(50%)で500万円の家財への地震保険金を手にできる。これなら、貯蓄を取り崩したり、義援金を充てたりすれば、家の建て直しにも手が届くかもしれない。
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文・図=竹下さくら

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