この15年間で38社のイグジットを生んだ、ライフサイエンスに特化したエンジェル投資協会、Life Science Angelsの共同創業者兼会長のAllan May氏も次のように語る。
「当投資協会のメンバーたちはライフサイエンス業界での豊富な経営経験を持ち、優れた研究などをどのように商業化すればいいかを熟知している。私も、1990年台半ばからエンジェル投資を行っているが、それ以前からこの業界で働いており、現在も同業界で8社を経営している。いつも、もし自分の家族が患者だったらどう救うのかを考え、スタートアップにも問いかけてきた。実際に多くの投資先のデバイスが世界中で命を救い、人生をより良いものにできることに喜びを感じている。
今後この業界では、一層のデジタル化が進むと考えられる。イグジットやFDA認証まで時間がかかるという難点はあるが、コロナ禍で医療の大切さを再考し、投資する人が増えることを願っている」
また、スタンフォード大学に所属し、医療機器スタートアップにも投資するMedVenture Partnersの共同創業者兼CMOの池野文昭氏も、これまでも人の命を救うことに専念してきた。
「シリコンバレーは、サービス分野のスタートアップがユニコーンとなり世界中から注目を集めてきた。しかし、コロナ禍によりディープテックの重要性が増し、薬や医療機器の研究開発型スタートアップの存在感が増してきた。これまでは “シリコンバレーは世界を変える” が合言葉だったが、これからは ”シリコンバレーは世界を救う” というビジョンを持つアントレプレナーが増えることを望んでいる」
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シリコンバレーのエコシステムのキープレイヤーたちは、新型コロナの影響を受けつつも、新しい価値を生み出すスタートアップを支援し続けている。ヘルスケア業界に貢献してきた彼らの声が、1人でも多くの人に届き、「人の命に投資する時代」が訪れることを切に願う。