イノベーション・エコシステムの内側

スタートアップコミュニティスペースFactory Berlinの様子(Getty Images)

「ベルリンのスタートアップが熱い」と、ここ数年、シリコンバレーやEU諸国の投資家や起業家から耳にする機会が増えた。2020年3月現在でドイツにはユニコーンが11社あるが、そのうち以下4社がベルリンにある。

Auto1 Groupはトップの時価総額の中古車取引プラットフォーム、N26は英語をメインとするデジタル銀行で、OmioとGetYourGuideはトラベル系の会社で、いずれの企業も世界中でサービスを展開している。

では、ベルリンはどのようにスタートアップのハブとなったのか。駐日ドイツ商工特別代表で在日ドイツ商工会議所専務理事のMarcus Schürmann氏をはじめ、ベルリン在住の起業家たちにインタビューして、10のポイントにまとめてみた。

1. カリスマ起業家兄弟の存在


ベルリンのコンサルティングファーム、HARTFISH共同代表のMike Fischer氏は、ベルリンを起業家のメッカとした立役者として、Samwer兄弟(Oliver、Marc、Alexander)を挙げた。

Samwer兄弟は、1999年にオークションサイトの運営会社AlandoをeBayに、2004年には再び起業した着メロ会社JambaをVerisignに買収され、2006年にEuropean Founders Fundを設立。ヨーロッパのスタートアップ投資をスタートした。


Rocket InternetのAlexander Samwer CEO(中央、Getty Images)

2007年には、アメリカなどで普及したビジネスをモデルにして、類似サービスのない国々へと展開していったインキュベーター企業Rocket Internetを設立し2014年に上場。2013年には、Global Founders Capitalを設立し、グローバルのアーリーステージ向けのスタートアップに投資するベンチャーキャピタルを運営し、数々のエグジット実績も誇る。

2. ベルリン独自のカルチャー


前出のFischer氏は、「ベルリンは長い間、国際的なクリエーター、学者、先駆者、芸術家が集まり、お互いに刺激を与え、独自のカルチャーをつくってきた。それは、他のドイツの都市とは明らかに異なり、ダイバーシティに溢れ、寛容でオープン、政治的に活発で、グローバルな多くの異なる文化が融合し、サブカルチャーを生み出してきた」と、ベルリンの持つカルチャーがスタートアップの発展に寄与したと言う。

2001年から2014年までベルリン市長を務めたKlaus Wowereit氏は同性愛者だが、この街を「Berlin is poor, but sexy(ベルリンは貧しいが、セクシー)」だと表現。大企業は少ないが、魅力的なスタートアップが多いことを表した言葉だと捉えることもできると、駐日ドイツ商工特別代表のSchürmann氏も語っている。

文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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