創業者兼マネージングディレクターのRavi Belani氏は、「コロナ禍によってプログラムの後半3カ月はオンラインで行ったため、世界中から採択されたスタートアップは自国から受講した」と言う。
プログラムの最終日には、スタートアップ15社がオンラインでピッチを行うバーチャルデモデイを開催し、世界中から投資家約800名、大企業のポテンシャルパートナー約150名が参加。イベント後の投資家たちの反応も良好だったという。Belani氏は今回のプログラムの成果を次のように語る。
Alchemist AcceleratorのRavi氏による、オンラインデモデイとオンラインコミュニティの説明
「オンラインだと他の参加者に気を使わずに、関心を持ったCEOにメールで連絡が取れ、アフターフォローがしやすい。また、登壇したスタートアップを人気順に並べる統計機能や、当日参加が難しい参加者のためにデモデイ後2週間に限りユーチューブで公開するなどのサービスも行なった。
採択したスタートアップを見ると、コロナ禍により、EC、ヘルスケア、クラウド、リモートアプリなどが伸びていた。“More innovation More International”なビジネスを展開することが重要だが、オンラインでシリコンバレーの重要人物たちと繋がりやすくなったことがその後押しとなるだろう。Silicon Valley as Service(シリコンバレー自体がサービス)だ」
人の命に投資する時代
では、投資家たちはどんな意見を持っているのだろうか。サービス業への投資が注目されがちなシリコンバレーで、長年ヘルスケア分野に携わってきた人たちは次のように語る。
ハーバード・ビジネス・スクールの卒業生のみが所属するエンジェル投資協会Harvard Business School Alumni Angels of Northern Californiaの会長であるEtienne Deffarges氏は、自身が起業したヘルスケアIT企業R1-RCMを上場させた経験を持ち、シリコンバレーでエンジェル投資した20社のうち6社がヘルスケアスタートアップだ。
「コロナ禍で世界的な経済危機が起きたため、投資家は慎重になり、今年のエンジェル投資は昨年より減少するだろう。しかし、2008年のリーマンショックによる金融危機後にエンジェル投資数が大幅に増加したことを考えると、今年を乗り越えれば、また活発化すると予想される」
Deffarges氏は、今回の危機を乗り越えることができる有望な業種として、食品、健康管理、ドア配達サービス、フィンテック、AIとロボット工学(3Dプリントを含む)、リモートテクノロジー(遠隔医療等)、サイバーセキュリティという7つを挙げている。