開業にお金をかけたくない、という人には自宅をオフィスに手軽に始められる「在宅ワーク」(自営型テレワーク)が選択肢に上る。在宅ワークとは厚生省の「在宅就業者総合支援事業」サイトによれば、「企業などから委託を受けてパソコンなどを活用して自宅などで仕事をする、企業などに雇われない働き方」と定義される。在宅ワークの職種には、設計・製図、システム設計・プログラミング、ウェブサイト作成、ライター、翻訳、文字起こしなどがある。
在宅ワークで働く人はシニアも少なくない。71歳のAさん(女性)は現役時代はソフト会社で介護保険ソフトのヘルプデスクをしていたが、65歳で定年退職。その後自宅で文字起こしの仕事を始めた。現在、仲介業者2社から仕事を受注している。「自分の時間を自由に使えるのは良いことだが、コンスタントに仕事の受注が来ないことが悩みだ」という。
また、まもなく60歳になる編集ライターのTさんは、元々は商社で広報活動を担当し、情報誌やウェブ記事の制作に携わった。30代後半で育児のために退社、在宅ワークに切り替えた。それから24年間、今では記事執筆、出版企画、ウェブ記事制作など幅広く仕事をこなしている。Tさんは「仕事が楽しく、オーバーワークになってしまうことが悩みだ」と話しており、仕事が多く継続的に受注していることが伺える。
在宅ワークは一定の精度の成果物を期限までに納入しなければならない、というノルマがあるが、評価されるのは成果物であり、年齢や性別など仕事をした人の属性ではない。メリットは自分で仕事の時間を決められ、会社で働くように上司や周囲に気を遣うことがないことだ。マイペースで仕事がしたい、仕事に集中したいという人には良い働き方であるといえる。
在宅ワークで道を切り開くシニアも少なくない。(Shutterstock)
海外で引きが大きい日本人エンジニア
ところで、前述のシニア就職コンサルタント生島氏によれば、海外では日本の技術力に対する評価が非常に高いことから、日本人エンジニアの引きが大きいという。中国、東南アジア、中近東の国々では経験豊富な60歳以降のシニアエンジニアの再就職が増えているらしい。
中国の就職サイトを見てみると、機械、電気・電子、建築土木、自動車などの分野での技術者の募集が多い。職種は品質管理責任者、製品技術の対応支援、現場と技術部門との取りまとめ役などで、給料は経験者の場合20000元~25000万元(約30~38万円)だが、現地給料の水準を上回る額だ。日本人エンジニアの場合、給料以外にも住宅費や一時帰国費を会社が負担することが多く手厚く迎えられる。