IAGのCEOのウィリー・ウォルシュは5月7日、旅客数がパンデミック以前のレベルに回復するのは、最大で3年先になると言及した。同社の第1四半期の業績は前年同期の7500万ドルの黒字と比較すると悲惨な結果になったが、第2四半期はさらに落ち込むものと見られている。
ブリティッシュ・エアウェイズは先週、コスト削減のために1万2000人の従業員を解雇すると宣言していた。CEOのウォルシュは今年3月で引退する予定だったが、9月までは現職にとどまり、業績の立て直しにあたるという。
欧州で第3位の航空グループであるIAGは、少なくとも7月までは旅客数の減少が続くと予測している。IAGは傘下にブリティッシュ・エアウェイズのほか、スペインのイベリア航空や格安航空会社のブエリング航空、アイルランドのエア・リンガスを保有している。
IAGは昨年、スペインのエア・ヨーロッパを10億ドルで買収すると発表したが、現在は価格の引き下げ交渉を進めている。
「3月の業績は旅行制限により甚大なダメージを被った。損失の大半は3月後半の2週間のパフォーマンスに起因している」とウォルシュは述べた。「顧客の需要が2019年のレベルまで回復するのは、2023年以降になる見通しだ」と彼は続けた。
IAGが7月から通常の運行を行えるかどうかは、旅行制限がいつまで続くかにかかっている。英国は5月10日にロックダウン解除に向けたスケジュールを発表しようとしている。スペインやイタリアなどの欧州諸国は、既に制限解除に向けた取り組みを進めている。
ウォルシュは米国の一部の航空会社と同様に、乗務員のフェイスカバーの着用や乗客の体温検査を義務づけた上での運行再開を視野に入れている。
IAGは既に英国政府から3700億ドルの短期ローンを確保している。同社の現金残高は4月末時点で100億ユーロだった。
世界の航空会社が加入する業界団体のIATA(国際航空運送協会)は、今年の航空各社の損失額の合計が3140億ドルに達すると予測している。