「日本初のCDO」の経歴からマーケターの歩みを学ぶ|#キャリアトレース Vol.1

企業のマーケターたちを中心に、イベントやソーシャルメディア上で活動する「#マーケティングトレース」というコミュニティがある。

このコミュニティでは数多あるマーケティングのフレームワークを独自に編集したフォーマット「マーケティングトレース」を無料開放し、自己研鑽や自社分析をしたいマーケターの間で話題を呼んでいる。

Forbes JAPAN CAREERではその主宰であり、著書「マーケティング思考力トレーニング」などでも知られるマーケター黒澤友貴と共に、個人のキャリアプランニングに役立つ思考のフォーマット、その名も「キャリアトレース」を開発。

キャリアや人生における「憧れの人」を、単なる憧れで終わらせるのではなくベンチマークにするため、その裏にある成功要因をより分析的に見つめられるようにすることが目的だ。

この連載ではキャリアトレースの紹介だけでなく、各プロセスでの具体的な分析方法について紹介していく。第1回はそのデモンストレーションとして、黒澤氏自身が憧れの人を“トレース”する。

選んだのは、Forbes JAPAN(2017年12月号)でも稀代のCxOとして紹介され、日本ロレアル時代には国内で初めてCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)という役職を務めたことで知られる長瀬次英だ。

KDDI、ユニリーバ・ジャパンのブランドマネージャー、Instagramの日本事業責任者、LDH JapanのCDOなど、誰もが知る企業でキャリアを積む同氏を、黒澤氏はどのように“トレース”するのだろうか。

ここからは黒澤氏にバトンを渡して、彼の言葉でお送りしよう。


キャリアトレース「7つの分析項目」


連載の第1回ではキャリアトレースの見本として、私が尊敬するトップマーケターの1人である長瀬次英氏をトレースしながら、このフォーマットでできることや使い方を伝えていきます。

まずは全体像をお見せします。



PEST、4P、ポジショニング分析など、マーケティング戦略を考える際に使われるいくつかのフレームワークを応用しながら、全部で7つの項目を盛り込んでいます。

1. PEST ※「マーケターを取り巻く環境の変化」と表記
2. 人材市場におけるニーズの変化 ※「マーケターに求められることの変化」と表記
3. キャリアにおける重要人物
4. ポジショニング
5. マーケティングミックス(4P)
6. キャリアトレース要約
7. 自分自身のキャリアに活かす視点

これらの7項目に加えて、「トレースする人」の欄には一言でどんな人かを記入し、キャリアの変遷も時系列でまとめています。

大きくは、(1)マクロ環境を把握し、(2)長瀬氏がどのような戦略を採ったのか、(3)誰からどのように評価を得て現在のポジションを確立したのか、という構成です。そして最後に、分析結果を踏まえて「分析対象のどの部分を自分に取り入れられるか」をまとめています。
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解説=黒澤友貴 構成=小野祐紀

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