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2020.05.08 07:30

年々ブランドが増加。なぜ、世界でサプリメントD2Cが注目されているのか?


ただし、“ニッチな商品”ではあるため、リアル店舗で展開するマス需要にも耐えうる製品に比べて、生産上のスケールメリットは享受しづらい。それゆえ価格感がマス向け製品よりも高くなってしまう傾向がある。しかし、これについても店頭販売では実現の難しいサブスクリプションが販売手法のメインになっていることから、累積的に販売個数がスケールしたり、継続購買率が高い製品に関しては新規獲得のためのマーケティングコストが逓減したりと、価格に関しても変化があると予想できるだろう。

消費者としては、リアル店舗で展開されるようなマス向け製品と、D2Cで展開されるようなニッチ向け製品、それぞれの選択肢が得られることとなり、自分のニーズに合わせてケースバイケースで購買する製品を決定できる環境になったと言える。

国内、国外で開発されているD2Cサプリ


ここでは、先に書いたように特徴的な商品開発をしているD2Cサプリをいくつかご紹介する。国外・国内、それぞれの事例に触れる。

care/of



care/ofは設問に答えることで自分にパーソナライズされたサプリメント一式を毎月配送してくれるサービス。設問に答えるだけでなく、自分でサプリメントの種類を選んで配送してもらうことも可能だ。

パーソナライズドサービスである点以外に、ビタミン・ミネラル・ハーブ・プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)などサプリメントラインナップが豊富なことも特徴。

また、ブランドからコンシューマへのコミュニケーションとして、サプリメントの効果を示すエビデンスや品質などに関する情報公開も積極的だ。

米国発の企業で、まだ日本のユーザーは対象ではないが、近年は国内でもD2Cサプリメントブランドが出始めており、類似したコンセプト・品質のサービスが出てくるかもしれない。

hims



himsは男性向けのライフスタイルブランドで、もとはED薬をデザインして配送するところからスタートした。ED薬の販売では、もともと使うのが躊躇われていた製品をクールな印象に刷新することで、ミレニアル世代でも手に取りやすい工夫をした。そこで好評を得て、睡眠やストレス、健康にフォーカスしたサプリメントにつなげたのである。

今ではシャンプーやスキンケアといったプロダクトにまでラインナップを広げているほか、「hers」という女性向けブランドも立ち上げている。

himsも米国発のサービスで、今までに約197億円の資金調達をしており、時価総額1兆円を超えるユニコーン企業となっている。

Sui+



Sui+も、先に紹介したhimsと同様に、男性をターゲットにした製品ラインナップを展開している。

マルチビタミンミネラル・アミノ酸の入った「Essential nutrition」、エイジングケア・男性の性機能を考えた「For professionals」、ヘアケア・スキンケアを考えた「Biotin」、睡眠のための「Sleep」といった4種のサプリメントを販売中だ。

東大医師が監修していることでも注目を集め、発売前に応援購入サービス「Makuake」で行われた事前販売では目標金額の3.3倍もの購入があった。
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編集=新國翔大

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