イノベーションの舞台裏

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世界のサプリメント市場規模は約1232億米ドル(日本円換算で約12兆円)と推計され、その年間成長率も8%と高い成長率が観測されている。

ひとくちにサプリメントと言ってもその目的は様々で、健康管理のみならず、美容、減量・体づくり、認知機能や性機能の向上など、幅広い用途がある。また、国内でも海外市場に遅れを取っていた品質基準(ex. GMP)の浸透や、法整備(ex. トクホ、機能性表示食品)の構築などで、安全性や効果が担保されてきた。その結果として消費者便益が向上し、サプリメントの認知・活用が進んでいる。

その存在が注目されて久しい“D2Cメーカー”は、この巨大でかつ成長期待も高いマーケットの中でも例外なく数多く存在し、D2Cプロダクトの常である「ブランド競争力 x 高品質」を武器に様々なサプリメントを展開している。

D2Cプロダクトが投入される前のマーケットとは?




サプリメント販売の主戦場はドラッグストアをはじめとした店頭販売。統計によって見解は様々だが、EC化比率は5〜30%程度と想定されている。

となると、多くの消費者の方々はリアル店舗でサプリ製品を手に取っていることになるが、リアル店舗でサプリメントを販売しようとすると「売り場面積」の制約上、ニッチな商品を置くことが難しいという現状がある。

実際に、プロテインにこだわりのある方だとご認識されているところだと思うが、ポピュラーなホエイプロテインは置かれていても、ソイプロテインやカゼインプロテインは一般的なドラッグストアには置かれていないことがほとんどだ。

また、“ニッチな商品”が店頭で取り扱われづらいもう一つの理由として、店頭販売に至るまでの営業力(≒各小売チェーンに働きかけるセールスチーム)をメーカーが保持しているかも問題になる。店頭を眺めていても、営業力のある大手メーカー製品が中心となって棚が形成されていることがわかるのではないだろうか。

加えて、売り場販売だと“横に並ぶ商品との比較”が発生しやすいため、価格競争や配合量競争(A社の製品にはビタミンCが1000mg、対してB社の製品にはビタミンCが1050mgなど)も盛んである。もちろん店頭販売においても各メーカーのブランド力が購買決定に関与するところではあるが、ブランドを除けば消費者が理解できるポイントとしてはその2つがメインで、店頭では伝わりづらい魅力(ex. 安定型ビタミンCとヘム鉄の配合など)は商品企画に組み込みづらく、こういった側面も相まって、“ニッチな商品”が手に入りづらい環境が織り成されてきた。

売り場面積、メーカーの店舗営業力、店頭販売ならではの購買決定フローを理由として、“ニッチな商品”が発売されづらかったのを緩和したのがD2Cメーカーの存在だ。

D2Cプロダクトが市場に投入されて変わったこと




D2Cプロダクトとしてのサプリ製品は上述したような環境に囚われずに販売が可能になった。

売り場面積の制約は、ネット広告などの露出機会や在庫数に限りがあると言っても大幅に緩和され、1商品で数十万個/年といった販売数量を獲得せずともネットを介して消費者に届けられる。メーカーの店舗営業力も必須ではない。

加えて、消費者は各D2Cメーカーが作り込んだ世界観(ex. ウェブサイト、ブランディング広告など)の中で、店頭販売では伝わりづらい配合へのこだわりなどを理解することができ、リアル店舗メインでは展開のしづらかった“ニッチな商品”の開発可能性を大いに高めた。

編集=新國翔大

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