指輪型スマートデバイスMotivで激変する「次世代の個人認証」

Motiv スマートリング / mymotiv.com

デジタルアイデンティティ企業の「Proxy」が、スマートリングを開発するスタートアップ「Motiv」を買収した。Proxyは今後、生体認証テクノロジーを個人のデジタル認証に用いようとしている。

Motivはフィットネスや睡眠のトラッキングに用いられる指輪型デバイスで知られ、筆者は2018年に執筆したレビュー記事で、その性能を高く評価していた。

Motivの特徴の1つは、常に身につけておく認証ツールとして利用可能な点だ。このデバイスがあれば、セキュリティを確保しつつ、あらゆるサービスにログインすることが可能だ。ProxyはMotivを買収し、その利用範囲を拡大しようとしている。

「指輪型のデバイスのMotivを用いれば、あらゆるシステムに非常にセキュアなログインが行える。マシンと人類が共生する世界を実現できる」とProxyのCEOのDenis Marsは述べている。

「VRやARの普及に備え、新しい形のデジタルアイデンティティの整備が必要になる。スマートリングであれば、これまで以上に自然なデバイスとの連携が可能になる」

指輪型デバイスの利点は数多い。指輪であれば常に身につけておけるし、人目を気にする必要もない。非常に軽く、どこにでも持ち運び可能で、一回の充電でかなりの長期間の利用が可能だ。

つまり、デジタル認証ツールとして、指輪型デバイスよりも優れたものは他に存在しないと言っても過言ではないだろう。さらに、指先からは人体の様々なデータが取得できる点もメリットだ。

Motivはユーザーの心拍数を把握し、歩行や運動のデータも取得できる。さらに別のアルゴリズムを組み合わせることで、デバイスが他人に使用されている場合、警告を発することも可能になる。

「Motivの認証機能は非常に正確で、バッテリー消費量も少ない。このデバイスはデジタル時代の新たなエクスペリエンスを実現する上で、非常に重要な役割を果たすことになる」と、Marsは述べた。

自宅に帰宅すると、本人であることを認証し即座に開くスマートドアや、自動的に空調がカスタマイズされるスマート空調も実現できるだろう。これまで以上にシームレスな動作が、セキュリティを確保しつつ実現できるのだ。

「家庭や職場のあらゆるスマートデバイスが、即座に個人を認証し、最適な動作を行うことになる。パーソナライズと高度なセキュリティを同時に実現できる」と、Motivは宣言した。

Proxyは今後さらなる機能を、Motivに追加していく計画だ。

スマートリング関連のデバイスは各社が関心を抱いており、アマゾンもEcho Loop と呼ばれる指輪型デバイスを既に発表している。

Proxyは今回の買収により、Motivの社員の大半を自社に招き入れ、新たな機能を追加しようとしている。今後は外部のパートナー企業も巻き込んで、新たなイノベーションが追加されていくことに期待したい。

編集=上田裕資

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