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われわれは今年、世の中が「コロナ一色」に染まる数カ月を経験した。「アフター」コロナ時代が到来するかどうかさえ、危うい。

こんな不確実な世界と時世に、あなたは何に拠り所を求めるだろうか。この先、何が起きても後のち後悔せずにせむ、衷心から打ち込める道は何なのか。

たとえば今いる会社にこの先ずっとは「勤め続けない」という選択に、一瞬、思いが泳ぐことはないだろうか。

アマゾン ジャパンローンチメンバー(社員番号4番)であり、現在は東証一部キャリアインデックス執行役員社長室長を務める曽根康司氏が、「プロダクトデザイナー」の肩書きに「カフェのオーナー」の肩書きを加えた嶋田耕介氏に話を聞いた。以下はその後編だ。

前編 携帯電話デザイナーから相模原のカフェオーナーへ。「KPIのコペルニクス的展開」はどう生じたか 


もし、あなたがも今、カフェのオーナーとなって、カフェを作ることになったならば、どのような行動を取るだろうか?

客数の見込みから出店候補地を決めて近隣の不動産相場を見るか、予算に見合う立地・大きさの物件を探し、客数を計算するのではないだろうか。

飲食店の売上の基本となる方程式は「客数x客単価」であり、その客数は立地と密接な関係があるのは間違いない。

神奈川県相模原市にある津久井湖の湖畔に大きな倉庫を改装したカフェがある。ZEBRAコーヒー津久井本店だ。周囲には何もない。その倉庫も以前は廃屋だった。店舗面積220平方メートル、天井高5メートルの大空間。ロードバイクのまま乗り入れ、入店できる。加えて、江ノ島でも湾岸でもない「相模原」というニュートラルな立地。

オーナーの嶋田耕介氏に、彼の西新宿にあるアジト兼仕事場で話を聞いた。このアジト兼仕事場は最近借りたもので、嶋田氏が自身で内装を仕上げた。高速道路のランプが間近に見え、行き交うクルマを眺めているとゴダールの映画を観ているような錯覚を覚える場所だ。

デザイナーからカフェのオーナー、なぜ?


曽根
:デザイナーからカフェのオーナー、なぜ二足のわらじを履き始めたのですか?

嶋田:最初は家具のデザイン、それからマーケティング&デザインの会社、そしてデザイン事務所を作って独立しました。デザイン事務所というのはクライアントの依頼を受けてデザインをするわけですが、その中で、何かしらの僕たちのブランドを持たないといけないと感じていました。

デザイン事務所としてのアイデンティティーが弱いと、どうしてもクライアントの要求が大きくなります。決して、悪いことではないのですが、デザイン事務所としての存在感を出すには、ブランドが必要だと考えたわけです。これも実証実験みたいなものでしたね。

最初はシャツのブランドを作ろうと思っていたのですが、2011年にメルボルン、シドニー、サンフランシスコ、シアトルに行ったのが転機でした。そこで出会ったのが、今、「サードウェーブ」と呼ばれているお店たちです。シャツよりも、人の生活により含まれている。圧倒的に人の価値感の含有量が多いと思って、カフェにしました。

文=曽根康司 写真=嶋田耕介 編集=石井節子

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