一部の重要企業では電子商取引が当時よりはるかに浸透し、ノードストロームとニーマン・マーカスはどちらも30%を超えている。一方、主に実店舗で買い物をしていた顧客のうちネットショッピングに切り替えている人が比較的少ないのは明確だ。販売促進のための値引きは増加しているが、今のところ需要を増やす効果はあまりないようだ。
大部分の店舗が再び開店するのはいつで、どのような営業条件が付くのかはまだ不明だ。一部の消費者はすぐにためらうことなくパンデミック前の行動に戻るかもしれないが、多くの人は安全上の懸念、あるいは少ない物で十分生きていけることに気づいたという理由から、実店舗での買い物に嫌々戻る可能性が高そうだ。
どちらにせよ、ファッション商品に特有のこととして、支出のかなりの部分が季節的な要因によって変わることを覚えておくことが重要だ。夏本番の商品については今のところまだ(少しは)希望が残っているが、従来の春物正規料金販売の機会は急速に終わりつつある。
学校の休みや復活祭、母の日、その他の春のイベントのために購入される商品から小売業者が通常得る利益は大部分は失われた。また、売り上げの多くの部分を国内外の観光客から得ている高級品小売業者の間では、売り上げはしばらくの間戻ってこないだろう。こうした状況の中、今後捉えることができる繰り延べ需要は実質的に存在しない。
一世代に一度の格安品を得るチャンスを生かすことへの関心と手段を持つ消費者にとって、これは思わぬ幸運だ。しかし、ファッション・高級品の小売業者や供給業者にとっては悲しいことに、損失は歴史的な額になり、店舗の閉鎖や倒産、合併を通した業界の再編が起きる可能性は高い。